肺血管発生の詳細は不明な点が多い。肺血管を構成する内皮細胞や平滑筋細胞の起源の候補と考えられている肺間葉系細胞には転写因子Tbx4が比較的高く発現しているが、肺血管発生におけるTbx4の役割は不明である。また、近年小児期発症の肺動脈性肺高血圧症でTBX4遺伝子変異が検出されたが、その発症機序は不明である。 本研究ではTbx4に着目し、胎生期の肺間葉系細胞でTbx4の発現を低下させたところ内皮様の管腔形成能が促進され、肺器官培養でTbx4の発現を低下させたところ肺発生が抑制された。肺間葉系細胞のTbx4は肺の発生や肺動脈性肺高血圧症の病態に関与する可能性が示唆された。
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