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2018 年度 実施状況報告書

成長期心不全におけるリバースリモデリングのメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K10156
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

浦島 崇  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20338875)

研究分担者 角田 亘  国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (00453788)
草刈 洋一郎  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (80338889)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード右室肥大 / ラット / 線維化
研究実績の概要

【背景】圧負荷による心肥大、アスリート心などストレスの長期暴露によって代償性心肥大は非代償性心肥大となり心不全へと至る。 cGMP-PKGシグナルなど多様な抑制メカニズムなどの関与が報告されているが、ヒトでは検体採取が困難であることから詳細な組織学的検討は少ない。【目的】代償性心肥大の病理組織を検討し代償破綻のメカニズムを明らかにする。【方法】150-200gのSDラットに肺動脈絞扼術(PAB)を施行し右室肥大モデルを作成した。術後の半減期は17日で心エコーにおいて右心機能低下を認めた。術後4週間に心エコーを施行し右室―肺動脈の圧差が80mmHg以上のラットを成功例として組織学的検討を行った(PAB4週; n=12)。対象はsham(n=4), PAB2週(n=6)とした。【結果】右室重量;Masson染色を用いて算出した右室線維化率はsham群130±23mg;3.0%、PAB2週群358±30mg;6.9%、PAB4週群422±68mg;13.1%(P<0.01)であった。電子顕微鏡では線維化部位に一致して膨化したミトコンドリアを認めた。
【考察】ラット右室の心筋肥大は約4倍の重量まで肥大するがその後は心肥大ではなく線維化が進行し非代償性に心機能の低下を呈した。過度な心肥大が虚血を引き起こしミトコンドリア障害、線維化を引き起こしていると考えられた。著名な心肥大に対しては線維化が進行する前にストレスの早期解除が必要である。また心機能が破綻する前の徴候を心エコーで同定が可能か評価を続けていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

モデルラットの作成は順調であるが、再手術による肺動脈絞扼の解除が一回目の手術の癒着によって困難で手術成功による絞扼解除モデルの成功数が充分量に達していないため、その後の病理検査、生理学的検査を行うことが出来ていない。
組織癒着によって肺動脈絞扼を行った部位の同定が困難であることが原因の一つであるためマーカーとして結紮糸の識別が容易になるようにマジックで色づけを行う・癒着防止に絞扼部にゴアテックスシートを留置するなどで対応を行っていく。

今後の研究の推進方策

(1)肥大心筋の可塑性
肺動脈絞扼術の解除によって肥大した右室心筋が元々の形態に戻るかを病理学的に評価を行う。(2)肥大心の破綻のメカニズムの解明:肥大心に線維化が出現し心機能を抑制するという仮説を証明するためにミトコンドリアの電子顕微鏡による形態評価に加えてオートファジーの作用を定量化するためオートファジー関連蛋白質であるLC3 Ⅰ/Ⅱ, p62を免疫染色とwestern blottingによって測定する。また心筋の不可逆的変化であるnecrosisの指標として線維化の評価を行う。光顕によって心筋の線維化の定量化、線維化遺伝子であるprocollagen3, TGFをRT-PCRで定量化を行う。(3)肥大心の心エコーでの評価;肥大心の心機能が低下する前にその徴候を心エコーで同定できるかどうかをTDIで評価を行う。(4) 論文化:研究結果は論文化できるように準備を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

研究の遂行状況が遅延しており、抗体などの購入も遅れていることによって次年度使用額の残金が生じているが、すでに研究遅延は改善され分子生物学的な評価に用いる試薬の購入を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 先天性心疾患術後遠隔期患児の健康関連QOLは嫌気性代謝閾値レベルの運動耐容能や身体活動状況と関連がある2018

    • 著者名/発表者名
      藤田吾郎, 大高愛子, 浦島崇, 保木本崇弘, 来住野健二, 中山恭秀, 安保雅博
    • 学会等名
      第82回日本循環器学会学術集会
  • [学会発表] 肥大心が心不全へ進展するメカニズムの解明2018

    • 著者名/発表者名
      浦島崇
    • 学会等名
      第73回日本体力医学会学術集会
  • [学会発表] Evaluation of reverse remodeling in Right Ventricle Hypertrophy using PA debanding model rat2018

    • 著者名/発表者名
      Urashima Takashi., Itohisa M., Mori T., Iijima S., Ito R., Fujiwara M., Ida H
    • 学会等名
      Annual Meeting of the Association for European Paediatric and Congenital Cardiology
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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