研究課題/領域番号 |
17K10156
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
浦島 崇 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20338875)
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研究分担者 |
角田 亘 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (00453788)
草刈 洋一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (80338889)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 右心不全 / ラット / リバースリモデリング |
研究実績の概要 |
肺動脈絞扼術モデルラットを用いて右心肥大を誘導し、その可逆性に対する検討を行った。可逆性を検討するために肺動脈絞扼の除去を行った。肺動脈絞扼で使用している絹糸は肺動脈の組織に強く癒着していたため抜去が困難である場合が多く、吸収糸(ポリグリコール酸)を用いて肺動脈絞扼術を施行した。この手技によって再手術を行い、絞扼に使用した糸を外科的に抜去することなく絞扼部が自然に拡大することが確認された。これをリバースリモデリングモデルラットとして生理学的検討を行った。 リバースリモデリングモデルの絞扼部位を心エコーで評価した。術後2週間で絞扼部の狭窄は自然に解除され肺動脈-右室の圧較差は術後1週後平均72mmHgが術後2週間で35mmHgへ低下した。右室収縮率も16%から33%に有意に改善した(P<0.01)。これによって肥大した右室がリバースリモデリングする過程を組織学的に検討した。リバースリモデリングによって心筋の線維化は有意に抑制された(P<0.01)。 以上の結果から心筋線維化は心機能に影響を及ぼすと考えられ、線維化の誘導反応である心筋での炎症反応がどのような状況で悪化するかを明らかにすることが重要と考えられた。 次年度は線維化が抑制されたメカニズムを分子生物学的に検討を行う。特にミトコンドリア機能と心筋DNAのダメージは心筋の機能維持に重要と考えられており、電子顕微鏡を用いた形態評価と線維芽細胞、マクロファージの関与を分子生物学的に評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リバースリモデリングモデルの作成が研究助手の産休のため遅延した。昨年度後半から復職し実験計画は進行具合は改善している。
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今後の研究の推進方策 |
心肥大の進行とその可逆性を分子生物学的に検討を行う。心筋内でのミトコンドリアの形態と機能評価、また心不全の進行に関しては心筋DNAの損傷が炎症反応を介して強く関与することが報告されており、そのマーカーであるADP-riboseを評価する。心肥大モデルとリバースリモデリングモデルでの発現を検討し、心不全への関与を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、研究助手の産休のために予定通りの研究を遂行することが困難となり支出額が減少し今年度へ繰り越しとなった。研究助手はすでい復職しており研究の再開されている。
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