研究課題
Lowe症候群の家系および「尿細管性蛋白尿を呈する遺伝性疾患の全国調査」で把握したLowe症候群の家系を対象に、患者家族より文書による同意を得たうえで直接DNAシークエンス法にてOCRL遺伝子解析を行った。現時点で集積できている症例数は78症例であり、その内OCRL遺伝子解析を11症例に対して施行することができた。OCRL遺伝子解析の結果に関してはOCRL遺伝子異常を9家系11症例全例に認めた。今後、さらに症例数を蓄積していき、全国調査で得られた臨床情報も合わせて、genotype-phenotype correlationに関して解析していく予定である。また、Lowe症候群と、同じOCRL遺伝子異常を原因とする疾患であるDent病(Dent-2)の中間的な症候を呈するLowe症候群類縁疾患と考えられる症例に関しては、現在5家系7症例を抽出することができている。同様に、患者家族より文書による同意を得たうえで直接DNAシークエンス法にてOCRL遺伝子解析を行った結果、7症例中5症例にOCRL遺伝子異常を認めた。しかし、いずれにおいてもこれまでの既報がない新規変異であったため病的変異であるか現在検討を行っているところである。また、OCRL遺伝子異常を認めなかった2症例に関しては、両親を含めたエクソーム解析の施行を予定しており新規疾患遺伝子の検索を行っていく。今後、既報の変異と臨床像を合わせ、genotype、phenotypeの特徴を検討していきながら‘OCRL異常症’として症候の連続性を解析・検証をしていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
Lowe症候群とLowe症候群類縁疾患の遺伝子解析を進めることができた。しかし、遺伝子解析数が充分ではないため、引き続き全国調査で得られた臨床情報を合わせ、genotype-phenotype correlationの解析を進めていく。
引き続きLowe症候群とLowe症候群類縁疾患の遺伝子解析を行い、順次、遺伝子解析の結果と得られた臨床情報を合わせ、genotype-phenotype correlationの解析をすすめる。また、それぞれの症例においてOCRL遺伝子異常がない場合には、両親を含めたエクソーム解析を行い新規疾患遺伝子の検索を行う。新規疾患遺伝子の候補を同定した場合は、培養細胞や動物を用いた機能解析を行う。
(理由)次年度も遺伝子解析および臨床像との関連性の解析を行うため。(使用計画)今後も引き続き、Lowe症候群ならびにLowe症候群類縁疾患の症例に関してもOCRL遺伝子解析をすすめていく。また、それぞれの症例においてOCRL遺伝子異常がない場合には、両親を含めたエクソーム解析を行い新規疾患遺伝子の検索を行う予定である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件)
日本小児腎不全学会誌
巻: 37 ページ: 226-229
巻: 37 ページ: 132-135
巻: 37 ページ: 267-270
日本臨床腎移植学会誌
巻: 5 ページ: 43-46
日児誌
巻: 121 ページ: 1846-1851