研究課題
Lowe症候群の家系および「尿細管性蛋白尿を呈する遺伝性疾患の全国調査」で把握したLowe症候群の家系を対象に、患者家族より文書による同意を得たうえで臨床症状の集積ならびに、遺伝子検査未施行例においては直接DNAシークエンス法にてOCRL遺伝子解析を行った。現時点で集積できている、Lowe症候群、ならびに同じOCRL遺伝子異常を原因とする疾患であるDent病(Dent-2)の中間的な症候を呈するLowe症候群類縁疾患と考えられる症例は計81例である。Lowe症候群の臨床症状(Lowe症候群67例での検討、診断時月齢は、中央値8.5か月(四分位範囲:5.8-17.0か月))に関しては、低分子蛋白尿(尿β2MG>5000 μg/L)・白内障・精神発達遅滞を100%に認め、LDH上昇90%、CK上昇71% 、高Ca 尿症77%、腎石灰化47%、代謝性アシドーシス60%、くる病/骨軟化症50%、尿糖20%をそれぞれに認めた。また、Lowe症候群患者(41例、年齢の中央値18.8歳(四分位範囲:9.8-28.1))における腎機能(推算糸球体濾過量(eGFR))の推移を検討した結果、年齢とeGFRは強い負の相関を示し(r2=0.68、p<0.0001)、30-40代で末期腎不全に至る可能性が示唆された。OCRL遺伝子解析の結果に関してはOCRL遺伝子異常を21症例に認め、現在、新たに6症例に関して解析中である。今後、さらに臨床症状やOCRL遺伝子異常に関する詳細な情報を蓄積していき、genotype-phenotype correlationに関して検討ならびに解析をおこなっていく予定である。
3: やや遅れている
Lowe症候群とLowe症候群類縁疾患患者の臨床症状の集積ならびに遺伝子解析を進めることができた。しかし、臨床症状の集積に比し遺伝子解析数が充分ではないため、遺伝子解析を未施行の症例に対して解析をすすめる予定である。
引き続きLowe症候群とLowe症候群類縁疾患の臨床症状の集積ならびに遺伝子解析を行い、順次遺伝子解析の結果と得られた臨床情報を合わせ、genotype-phenotype correlationの解析をすすめる。また、それぞれの症例においてOCRL遺伝子異常がない場合には、両親を含めたエクソーム解析を行い新規疾患遺伝子の検索を行う予定である。
(理由)次年度も遺伝子解析および臨床像との関連性の解析を行うため。(使用計画)今後も引き続き、Lowe症候群ならびにLowe症候群類縁疾患の症例に関してもOCRL遺伝子解析をすすめていく。また、それぞれの症例においてOCRL遺伝子異常がない場合には、両親を含めたエクソーム解析を行い新規疾患遺伝子の検索を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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