研究課題
二次調査協力を承諾していただいた113施設に2018年6月にデータセンターから送付した.送付書類は,担当医への依頼文,施設長への依頼文,倫理審査結果,承諾取消書,院内掲示ポスター,症例調査用紙,症例対応表および研究計画書である.1回の電話での督促を行った.回答いただいた施設は,名古屋第二赤十字病院,神戸大学病院,武蔵野赤十字病院,長野赤十字病院,苫小牧市立病院,順天堂大学病院,手稲渓仁会病院,聖隷浜松病院,福岡大学病院,松江赤十字病院,豊橋市民病院,都立小児総合医療センター,名古屋大学病院,一宮市立市民病院,国立成育医療研究センターの15施設で,675例の極低出生体重児のデータが集まった.3歳以上の血清クレアチニン値とその時期の身長があることを導入基準としたので,合致する症例は502例であった.このうち腎形成異常の診断のある10例を除外して,492例(男/女:275/217)について解析することとした.在胎週数:29.0±3.5,出生体重:981.6±315.2g,体重SDスコア:-1.44±1.58,検査時年齢:6.1±2.6歳,eGFR:110.8±22.1ml/min/1.73m2であった.3歳以降のeGFRに対する影響については,在胎週数(p=0.35),出生体重(p=0.030),体重SDスコア(p=0.001)と未熟性には影響を受けず,胎内発育に影響を受けている印象であった.出生前の要因として有意であったものは,母体年齢(p=0.049),母体喫煙の有無(p=0.031),出生後の要因として有意であったものは,晩期循環不全の有無(P=0.002),急性腎障害の有無(P=0.003)であった.これらは,単変量の解析ではありバイアスの調整がなされていない.今後多変量解析,特に共分散構造分析を使用して,疾患構造を明らかにしたいと考えている.
3: やや遅れている
アンケート結果の収集が遅くとも2018年10月には終了すると考えていたが,アンケート(症例調査)項目が1症例当たり130以上と回答に時間がかかることもあり,2019年2月末まで時間を要した.そのために,初期の研究計画より半年程度進捗が遅れている.しかし,研究内容については計画の内容に合致して行うことができている.
現在データ解析中で,構成概念として,1.胎児発育不全,2.未熟性,3.新生児期ストレスにわけて,それぞれの測定変数として,1.体重SDスコア,母体年齢,母体喫煙,2.在胎週数,3.急性腎障害,晩期循環不全,抗生剤長期投与,利尿剤長期投与を選択して共分散構造分析を行ったところ,在胎週数で測定された未熟性の3歳以降のeGFRに対する影響はなくなった.おそらく3歳以降のeGFRに与える影響は,胎児発育不全(胎内低栄養)と新生児期ストレス(新生児期の様々なエピソード)が強いのではないかと思われた.様々な疾患構造を想定して,共分散構造分析を進めていきたい.これらは生物統計家と協力する.
研究計画がやや遅れているためにデータ整理,データ解析,班会議などが今年度にずれ込んでしまった.そのために当該助成金が発生した.加えて今年度は,学会発表,論文投稿などを進めていく予定である.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 図書 (1件)
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