研究課題
基盤研究(C)
小児に好発するネフローゼ症候群の発症要因の一つとされる酸化ストレスについて、ミトコンドリアに対する影響を検討した。ネフローゼモデルラットに対してミトコンドリア特異的抗酸化剤を投与し、尿蛋白および血液、尿、腎糸球体(特にポドサイト)での酸化ストレスの軽減を確認した。また、ポドサイト内のミトコンドリア障害が軽減された。ネフローゼ症候群の発症要因として、酸化ストレスによるミトコンドリア障害が大きく影響していることが明らかとなった。
小児腎臓病学
本研究により、ネフローゼ症候群の発症要因として、酸化ストレスによるミトコンドリア障害が重要であることが明らかとなり、電子顕微鏡観察下でミトコンドリア障害の半定量的評価法を確立した。これらの結果から、本研究の社会的意義として、ミトコンドリア保護という観点によるネフローゼ症候群の治療法の開発に発展する可能性がある。また、学術的意義としては、電子顕微鏡下で腎組織のミトコンドリア障害を評価することにより、従来困難とされる病勢の判断や治療適応の判断に寄与する可能性がある。