研究実績の概要 |
先天性中枢性低換気症候群(congenital central hypoventilation syndrome: CCHS)の病因はPHOX2B遺伝子変異で,多くは4-13個のポリアラニン伸長変異(PARM),一部は非ポリアラニン伸長変異(NPARM)を有している. 臨床的にCCHSが疑われ,遺伝子検査を施行した332症例を対象とし,臨床症状についてアンケート調査を施行し,無呼吸発作,高炭酸ガス血症,ヒルシュスプルング病や自律神経症状の有無について検討した.PHOX2B遺伝子変異は141例(PARM128例,NPARM13例)に検出し,191例には変異を認めなかった.25PARMの発症時期は新生時期13例,乳児期4例,幼児期5例,学童期1例,成人1例であり,26以上PARMとNPARMはすべて新生時期であった. 遺伝子変異症例141例では,無呼吸発作と低換気は138例(98%),高炭酸ガス血症は113例(80%),ヒルシュスプルング病とヒルシュスプルング病類縁疾患は47例(33%%),腹部膨満と便秘症は20例(14%),徐脈・頻脈等は21例(15%),体温調節障害は2例(1.4%),瞳孔異常は6例(4%),胃食道逆流症は4例(3%)に認めた. 遺伝子変異未検出の191例では,無呼吸発作と低換気は155例(81%),高炭酸ガス血症は77例(40%),ヒルシュスプルング病とヒルシュスプルング病類縁疾患は5例(2.6%),腹部膨満と便秘症は7例(3.6%),徐脈・頻脈等は20例(10%),体温調節障害は9例(4.7%),胃食道逆流症は15例(7.8%)に認めた. 遺伝子変異症例では,無呼吸発作,高炭酸ガス血症,ヒルシュスプルング病などが高頻度に認められた.しかし,25PARMを有する症例では,成人発症例など,症状も非典型的で鑑別は困難であり,遺伝子診断を施行することが重要である.
|