研究課題/領域番号 |
17K10171
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐々木 綾子 山形大学, 医学部, 准教授 (60333960)
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研究分担者 |
早坂 清 山形大学, 医学部, 名誉教授 (20142961)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 先天性中枢性低換気症候群 / PHOX2B遺伝子 / 遺伝子診断 |
研究実績の概要 |
先天性中枢性低換気症候群(congenital central hypoventilation syndrome: CCHS)の病因はPHOX2B遺伝子変異で,約90%は4-13個のポリアラニン伸長変異(PARM),残りは非ポリアラニン伸長変異(NPARM)を有している. 臨床的にCCHSが疑われ,遺伝子検査を施行した376症例を対象とし遺伝子型と臨床型との関連を検討した. PHOX2B遺伝子変異は146例(PARM133例,NPARM13例)に検出し,230例には変異を認めなかった.NPARMの9個は新規の変異であった.遺伝子変異を有する146例では,25PARM24例中11例は乳児期以降に発症し,他の全ては新生児期の発症であった.症状は,無呼吸発作および低換気143例(98%),高炭酸ガス血症114例(77%),ヒルシュスプルング病とヒルシュスプルング病類縁疾患47例(32%),腹部膨満と便秘23例(16%),徐脈・頻脈等22例(15%),体温調節障害2例(1%),瞳孔異常6例(4%),胃食道逆流症4例(3%)であった. 遺伝子変異不検出の230例では,無呼吸発作および低換気193例(84%),高炭酸ガス血症101例(44%),ヒルシュスプルング病とヒルシュスプルング病類縁疾患5例(2%),腹部膨満と便秘8例(4%),徐脈・頻脈等20例(9%),体温調節障害9例(4%),胃食道逆流症15例(7%)であった. 遺伝子変異を有する症例では,無呼吸発作,高炭酸ガス血症,ヒルシュスプルング病などが高頻度に認められた.しかし,25PARMを有する症例では非典型的な症状であり臨床診断は困難で遺伝子診断が有効であった. また,遺伝子変異不検出27例を対象として,中枢性低換気との関連が報告されているMYOH1遺伝子とLBX1遺伝子を検索したが変異は認めず,新たな病因の解明が求められる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年間約30症例の検査申し込みがあり,約40%に遺伝子変異を検出している.ガイドライン作成において,鑑別診断を行うことが重要であり,そのための調査として詳細な臨床症状やアンケート調査により検討できている.
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今後の研究の推進方策 |
無呼吸発作・低換気,高炭酸ガス血症,またヒルシュスプルング病や自律神経症状の有無をチェックすることで,ある程度の鑑別は可能である.特に無呼吸発作・低換気,高炭酸ガス血症は高頻度で遺伝子変異を持つ症例に認められる.しかし,25PARMは一般的に軽症であり,無呼吸発作が新生児期ではなく,乳幼児期や成人になってから発症する症例もあり合併症も少なく、感染や麻酔を契機に発症することが知られている.そのため,遺伝子診断を施行し,鑑別診断を進めることが重要と考える.今後も症例を集積し,遺伝子検索を行い,臨床症状やアンケート調査で鑑別診断につながる情報を検討していく. 又,高CO2血症状を認めたのは遺伝子変異症例で77%程度であったのに対し遺伝子変異を認めなかった症例では44%程度であり鑑別の目安になると考えられた.しかし,少数ではあるが,遺伝子変異を認めなかった症例で明らかにCO2応答換気反応が低下していた症例が存在すること,成人症例は原因が不明であること,さらに中枢性の低換気に肥満や視床下部機能不全を合併するROHHAD症候群ではPHOX2B遺伝子異常を認めず原因不明であることなどから,呼吸中枢に関連する他の候補遺伝子を今後もさらに検討していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の使用額が当初の予定額よりも使用せずに研究が進められたために次年度使用額が生じた。次年度も症例を集積し、遺伝子検索を行い、臨床症状やアンケート調査で鑑別診断につながる情報を検討していく。 また,少数ではあるが,遺伝子変異を認めなかった症例には,明らかにCO2応答換気反応が低下していた症例もあり,今後検討していく課題であり、検索を進めていく.
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