研究課題/領域番号 |
17K10177
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
鈴木 辰吾 香川大学, 医学部, 准教授 (50451430)
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研究分担者 |
安達 直樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 客員研究員 (00450601)
三木 崇範 香川大学, 医学部, 教授 (30274294)
太田 健一 香川大学, 医学部, 助教 (50403720)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | BDNF / Cholesterol / 母子分離 |
研究実績の概要 |
本研究では、新生児期においてシナプス発達の指標となる液性因子の同定を試みている。これまでの研究から、コレステロール代謝物である24HCが発達過程におけるシナプス形成のマーカーとなる可能性が示唆されてきたが、本年度は特に母子分離モデル動物において、24HC合成酵素の発現が変動するかどうかを調べた。研究の結果、母子分離ストレスを加えることにより、海馬における24HC合成酵素の発現が減少することを初めて確認した。一方、大脳皮質においては、母子分離ストレスによる24HC合成酵素の発現変動は確認できなかった。母子分離ストレスにより一過性にBDNFの発現が減少すること、さらに、BDNFによって誘導されるシナプス成熟とともに24HC合成酵素の発現も誘導されることが以前の研究により明らかとなっている。そのため、発達期における脳のストレスがBDNFの発現低下を誘導し、シナプス成熟を遅らせるとともに、24HC合成酵素の低下を引き起こす可能性が本研究により確認できた。 さらに、本実験の過程において、レチノイン酸代謝酵素が母子分離ストレスを受けたラットの脳において上昇することも同定した。発達過程における脳内のレチノイン酸は、神経ネットワーク形成にかかわることが知られているため、この現象は、母子分離ストレスが脳内の神経回路形成に影響を与える新しい作用機序となる可能性が考えられた。
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