研究課題
新生児慢性肺疾患患児(CLD児)と非罹患児(非CLD児)の血清からエクソソームの特異的タンパクであるCD9,CD63のImmunoblottingで、早産児の血中からエクソソームを抽出できることを確認した。CLD児では日齢28、修正36週で血清エクソソーム中のmiR-21の発現が上昇し、特に日齢28のエクソソームmiR-21の発現がCLDの高感度に重症度を予測することがわかった。一方、CLD児、非CLD児のエクソソームの粒子数や粒子径に変化はなかった。A549cellを用いて、miR-21がアポトーシスに関わるProgramed cell death 4(PDCD4)の発現を直接調整していることを明らかにした。CLDモデルマウスの実験では、日齢14ではmiR-21inhibitor投与群で呼吸回数と分時換気量が改善していた。miR-21ヘテロ欠損マウスでも同様の結果が得られたが、miR-21ホモ欠損マウスでは野生型CLDマウスと比べ呼吸機能は変化がなかった。miR-21 KO新生仔マウスとWT新生仔マウスを7日間酸素暴露したところ、miR-21 KOマウスではmiR-21の標的遺伝子であるPDCD4が上昇していた。また、炎症性サイトカインに関してIL-6、IL-1bはmiR-21 KOマウスとWTで酸素暴露後の発現に差はないものの、CCL2の発現がmiR-21 KOマウス群で有意に高かった。miR-21 KOマウスと野生型マウスの8週齢時の体重はそれぞれ26.0±0.6g、25.8±0.4gと差はなく、表現型にも差を認めなかった。酸素暴露後3日目の体重はmiR-21KOで21.1±0.7g、WTで21.5±0.4gと同様に減少していた。miR-21 inhibitor投与新生仔マウスとPBS投与新生仔マウスにおける肺でのmiR-21の発現は、miR-21 inhibitor投与群では、miR-21の発現は PBS投与群に比べ、20%程度まで減少していることがわかった。さらにmiR-21 inhibitor投与群ではPBS群に比べ、酸素暴露後日齢14での体重(6.2g±0.3g vs 5.8g±0.2g)が有意に増加し、分時換気量(21.3±0.9ml vs 18.2±1.2ml)、呼吸数(361±21 bpm vs 314±11 bpm)ともに改善していた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.
巻: 318 ページ: L845-L851
doi:10.1152/ajplung.00166.2019.