研究課題/領域番号 |
17K10192
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
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研究分担者 |
東海林 宏道 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30365621)
大塚 宜一 順天堂大学, 医学部, 客員准教授 (90338335)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バリア機能 / 腸管粘膜 / プロバイオティクス / 低出生体重児 / 脂肪酸 / 腸内細菌 |
研究実績の概要 |
低出生体重児では、消化吸収能、腸管運動、腸管免疫および腸管粘膜バリア機能はいずれも未熟な状態にあり、これらが低出生体重児の栄養学的問題や腸内細菌叢の乱れと密接に関係している。そこで本研究では、腸管粘膜バリア機能に影響を及ぼすことが知られている粘膜免疫応答と腸内細菌叢とのクロストークに着目し、低出生体重児の腸管粘膜バリア機能を改善するための栄養法ならびにプロバイオティクス投与法について検討した。 まず、ヒト腸管粘膜T84細胞をtransewell上で培養し、pre-confluentの状態でB.breve、L.reuteri、L.brevis、DHA、EPA、AAを添加してINF-γ刺激後のTEERを測定し、permeabilityの変化を検討するとともに、培養液中のサイトカインの測定を行い、次にDHAとAA量の異なる人工乳で哺育した人工乳哺育マウスと母乳哺育マウスをB.breve、L.reuteri、L.brevis投与群に分け、生後2週と5週に腸管粘膜におけるTNF-α、IFN-γ、TGF-β、IL-10、Smad、occuldin、clandinなどの発現および糞便中細菌叢を検討した。 母乳栄養が低出生体重児の重症感染症やNECの予防に有効であることは臨床上経験されることであり、その機序として母乳成分による抗菌作用や免疫賦活作用、さらには腸内細菌叢に及ぼす影響などが知られている。本研究の結果を踏まえて、低出生体重児特に極低出生体重児に対する理想的な栄養法ならびにプロバイオティクス投与法を実行することで、順調な栄養摂取のみならず、致死的にもなり得る疾病の予防や後の合併症の予防にもつながると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度後半から研究棟の移転があり、また年度の後半はCONID-19の影響で大幅に予定が遅れたため当初の計画より遅れている。 現在、DHA、EPA、AA添加によるTEERの測定について検討を行っている。 また共同研究施設である麻布大学での人工飼育マウスの実験も、麻布大学の都合で開始が遅れたため研究成果が十分出ていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響を十分考慮する必要があるが、遅れている実験を速やかに進行させるとともに、共同研究施設である麻布大学とも緊密に連携をとって実験を進めていく。新たに研究チームに加わった大学院生にも研究協力を依頼し進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目後半から研究棟の移転があり、また3年目終盤にCOVID-19の問題が生じたため、研究計画、特に動物実験に遅れが認められた。状況が落ち着き次第動物実験ならびに残りの実験を再開し、残りの研究費をラットの購入・飼育費ならびに実験試薬、キット、器機の購入費にあて研究を終了させていく。
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