研究課題/領域番号 |
17K10194
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
佐村 修 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90314757)
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研究分担者 |
大江 瑞恵 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (10247661)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マーカー染色体 / 染色体異常 / モザイク / 派生染色体 / データベース / SNPアレイ / 次世代シークエンサー |
研究実績の概要 |
本研究は、出生前染色体検査で判明する過剰マーカー染色体がどの程度存在し、さらにその染色体異常が本当に表現型に影響を与える原因となっているかどうかを明らかにする。さらに、過剰マーカー染色体の発生機序を解明し、今後の遺伝カウンセリングに行える基礎資料を作成する。過剰マーカー染色体は、親から由来するものとDe Novoに発生するものがある。De novoに発生した過剰マーカー染色体異常がどの程度、もしくはどのような種類の表現型の問題と関連するかはわかっていない。したがって、その由来を同定することと、どのような遺伝子の過不足が生じているかを検索し、マーカー染色体異常の由来染色体による個別のカウンセリングが行えるようにすることである。 初年度は我々の施設で経験した、マーカー染色体の症例に対して、由来の検討を行った。それが両親の均衡型転座保因によるものことを報告した。出生前染色体検査で過剰マーカー染色体が判明したばあい、半数は親が核型正常で過剰マーカー染色体はde novoである。親が過剰マーカーを持つときは、非モザイク型の時とモザイク型(正常/過剰マーカー)の場合がある。親の細胞がすべて過剰マーカーを持っていれば、過剰マーカーは表現型に影響をしない可能性が高いと考えられる。しかし、親がモザイクの時には過剰マーカーを持つ細胞の頻度が組織によって違うので可能性があるので、マーカー染色体の構造を分析して表現型に関係するか否かを決定することになる。過剰マーカー染色体の由来同定は、G分染法、FISH法、アレイ法を行われる。また、現在、データベースを構築すべく症例の収集を協力施設に要請しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、当院の院内倫理委員会で承認を得たマーカー染色体のデータベース構築に向けて、協力施設にマーカー染色体症例の収集に関する倫理委員会申請を行っていただくことにしている。 当院でのマーカー染色体症例の検討を行い、学会発表を行った。現在、データを後方視的に収集し、過剰マーカー染色体と由来の同定と、表現型の関連をみている。マーカー染色体の核型記載はISCN2015に従って、正確に行っており。過剰マーカー染色体はサテライトが、一端にあるときと、両端がある時に分類され、サテライトが両端にある時、対称形のものはinverted duplicationと呼ぶ。その中でも多いのが15番染色体由来のものである。過剰マーカー染色体がサテライトを持つとわかった場合には、FISH法を用いて段階的に同定する。サテライトを持たない場合には、Spectral karyotyping (SKY) はすべての染色体を染め分けられるので、過剰マーカー染色体の同定をする。但し、マーカー染色体が小さいと染まらないので同定できないことがあり、その場合はSNPマイクロアレイを用いて、過剰マーカー染色体の由来を同定する。その際、過剰マーカー染色体の遺伝子量がどうなっているかが判明する。現在、これらを用いることにより複雑な由来を有する過剰マーカー染色体の解析している。
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今後の研究の推進方策 |
協力施設から情報提供をうけて、データベースに症例を追加していく。これらを行うことによりマーカー染色体と表現型の関連を見る。また、FISH法、SNPマイクロアレイ法によるマーカー染色体の由来解析を行う。また、協力施設で新たに見つかった症例に対してマーカー染色体の由来と表現型の詳細な関連を見る。マーカー染色体症例の、染色体異常核型と表現型データを収集する。そして、個人が特定できない形で、データを後方視的に収集し、次世代シークエンサーを活用した過剰マーカー染色体の発生メカニズムの解明を行う。アレイ(CytoScan HD array(Affymetrix社))を使用しマーカー染色体の染色体由来領域を絞り、FISHで確認作業をおこないマーカー染色体の由来同定を行い、その後 Nextera Mate Pair Sample Prep Kit(Illumina社)によりライブラリーを作製し、ペアーエンド法による全ゲノムシーケンスを行い、過剰マーカー染色体の断端を推定し、アーティファクトの除外のために断端部分を挟んだPCRとサンガーシークエンスで確認する。相同配列や繰り返し配列の有無を調べて発生メカニズムを想定し解析する。 最終的には日本における過剰マーカー染色体症例のデータベースを構築し、専門家のみが閲覧できるようなシステムを作成する。そのことによって、過剰マーカー染色体症例の遺伝カウンセリングの際に、正確な情報提供ができる。さらに新たな症例に対して登録ができるようになれば、今後、益々データが蓄積することにより、より情報の正確性が増す。このようなシステムは世界的にみても例がなく、日本発のマーカー染色体に関する、世界への情報発信の起点になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベース構築のためのコンピューターが必要であります。また、マーカー染色体の由来解析のための試薬が必要となります。データ打ち込みのための費用および、研究発表のための旅費、論文校正代、投稿費などが必要になります。
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