研究課題/領域番号 |
17K10198
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
柴田 英治 産業医科大学, 医学部, 講師 (90419838)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胎児医学 / 生理学 / 超音波医学 / 胎盤 |
研究実績の概要 |
平成30年度までに正常妊娠25例、妊娠高血圧腎症11例、子宮内胎児発育不全9例の超音波3D power Doppler法による胎盤血流動態計測{Vascularization-Index (VI)、Flow-Index (FI)、Vascularization-Flow-Index (VFI)測定}を行った(目標症例数はそれぞれの群で25症例)。これらの症例の全てが平成30年度までに分娩となり、全ての症例の臨床データ、胎盤試料、母体血・臍帯血の取得が行われた。胎盤のHE染色により、病理学的・形態学的検索を行った。2018年9月までに分娩となった正常妊娠14例と妊娠高血圧腎症11例の胎盤の形態学的分析を行った。対象者の年齢の中央値は正常妊娠群:31歳、妊娠高血圧腎症群:33歳であった。分娩週数の中央値は、正常妊娠群:37週6日、妊娠高血圧腎症群:38週2日であった。胎盤重量の中央値は、正常妊娠群:512g、妊娠高血圧腎症群:516gであった。出生児体重の中央値は、正常妊娠群:2879g、妊娠高血圧腎症群:2670gであった。全24症例におけるVI値、FI値、VFI値と、胎盤の形態学的分析による絨毛血管密度、絨毛間腔密度、絨毛血管密度+絨毛間腔密度の相関を分析したが有意な相関関係は認められなかった。また、正常妊娠群と妊娠高血圧群の平均の絨毛血管密度・絨毛間腔密度・絨毛血管密度+絨毛間腔密度は、2群間で有意差を認めなかった。さらに、正常妊娠群と妊娠高血圧群の平均VI値、FI値、VFI値にも2群間で有意差を認めなかった。今年度内に目標症例数のリクルートを終え、全症例における胎盤血流動態評価、胎盤形態分析、胎盤GCX 損傷の評価、総合的胎盤栄養素輸送機能評価を行い、得られたData分析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度、研究の進捗が遅れた主な要因は次の2点である。 1.平成30年度に当院で管理した妊娠高血圧腎症、胎児発育不全の症例数が研究遂行にあたりやや少なく、正常妊娠の症例数は目標の25症に達したが、妊娠高血圧腎症、胎児発育不全の症例の確保できなかった。 2.平成30年度は、適任者の不在で実験補助員の採用ができなかった。このため、平成29年度、平成30年度に採取された胎盤におけるGCX 損傷の評価、胎盤栄養素輸送機能評価の実施ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究進捗の遅れに対して以下の本年度以降の今後の研究の推進を図る。 1.平成31年度に当院で管理予定の正常妊娠、妊娠高血圧腎症、胎児発育不全の症例数は研究遂行にあたり相当数が見込まれており、目標症例数の25症例に対して妊娠高血圧腎症を残り14例、子宮内胎児発育を残り16症例を今年度のなるべく早い時期にリクルートし終える。主任研究員は、産科医師全体に本研究の研究計画(対象者の研究の進捗状況など)を周知し、対象症例全体をリクルートする。 2.平成30年度は、適任者の不在で実験補助員の採用ができなかったが、平成31年6月より研究補助員の採用が決まった。研究補助員のサポートを得て、妊娠高血圧腎症を残り14例、子宮内胎児発育を残り16症例を、今年度のなるべく早い時期にリクルートし終え、平成29年度、平成30年度、平成31年度に採取された生体試料の全ての分析(胎盤血流動態計測、胎盤形態分析、胎盤におけるGCX 損傷の評価、総合的胎盤栄養素輸送機能評価)を完結する。さらに、得られたDataの解析を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は、前任の研究補助員が退職し、新たな研究補助員の採用が必要であっが、適任者の不在で実験補助員の採用ができなかった。このため、平成29年度、平成30年度に採取された胎盤におけるGCX 損傷の評価、総合的胎盤栄養素輸送機能評価の一部が実施できなかった。このため、平成31年度は、新たな実験補助員(勤務時間の増加)の雇用が必要となったため、次年度使用額が生じた。また、平成30年度に行う予定であった胎盤試料を用いた基礎的実験を平成31年に行うことから研究試薬購入などのため次年度使用額が生じた。
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