令和2年度までに正常妊27例、妊娠高血圧腎症23例、子宮内胎児発育不全12例の症例をリクルートし、超音波3D power Doppler法による胎盤血流動態計測{Vascularization-Index (VI)、Flow-Index (FI)、Vascularization-Flow-Index (VFI)測定}を行った。これら全ての症例が令和2年度までに分娩となり、臨床データ、胎盤試料、母体血・臍帯血の取得が行われた。胎盤のHE染色により、病理学的・形態学的検索を行った。令和2年3月までに分娩となった正常妊娠例27例、妊娠高血圧腎症17例、子宮内胎児発育不全8例の胎盤の形態学的分析を行った。対象者の年齢の中央値は正常妊娠群:34歳、妊娠高血圧腎症群:33歳、子宮内胎児発育不全:29歳であった。分娩週数の中央値は、正常妊娠群:38週1日、妊娠高血圧腎症群:37週2日、子宮内胎児発育不全:37週3日であった。胎盤重量の中央値は、正常妊娠群:510g、妊娠高血圧腎症群:535g、子宮内胎児発育不全:388gであった。出生児体重の中央値は、正常妊娠群:2941g、妊娠高血圧腎症群:2887g、子宮内胎児発育不全:2093gであった。全52症例におけるVI値、FI値、VFI値と、胎盤の形態学的分析による絨毛血管数、絨毛間腔密度、合胞体栄養膜細胞数の相関を分析したが有意な相関関係は認められなかった。また、正常妊娠群に対して妊娠高血圧腎症や子宮内胎児発育不全における平均VI値、FI値、VFI値は、有意差を認めなかった。また、全症例における胎盤血流動態評価、胎盤形態分析、胎盤GCX 損傷の評価、総合的胎盤栄養素輸送機能評価、血管新生因子バイオマーカー測定を行った。今後、これらの全てのデータ解析を行い報告する。
|