研究実績の概要 |
本研究課題の本来の最終年度は終了しているが、コロナ禍のために研究遂行が遅れたため、研究費使用の延長を申請し承諾された。2021年度は本研究課題の実質的最終年度となり、研究を終了した。 全研究期間を通して、当初計画した研究を遂行できなかった部分もあった。具体的には、他施設と共同で顕微赤外吸光マッピング分析を実施予定であるが、私も先方の研究者も期間中に異動となったこともあり、予備検討のみにとどまった。一方、フランスCNRSとの共同研究は、他の研究費の支援(日本学術振興会「二国間交流事業」)もあり、完遂することができた。 研究成果としては、我々が独自に開発した子宮内低灌流モデルラットは、多動のみならず、社会性欠如を呈し、低出生体重児は自閉症スペクトラム障害を呈し易いという疫学研究結果を再現していることが確認できた(論文投稿準備中)。脳組織に関しては障害は軽度であり(Itoh et al., Ped Intl, in press)、血液や脳脊髄液では一定の炎症反応を認めるものの、統計学的に有意ではなかった(投稿準備中)。脊髄反射に関しては低出生体重モデルラットは過敏性を有していることを明らかにした(投稿準備中)。 本研究課題の継続・発展課題である現在遂行中の科研費基盤研究Cの課題に引き継いで、子宮内低灌流に起因する低出生体重児の脳障害の発症機序解明と新規治療法開発の研究を行っている。
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