研究課題/領域番号 |
17K10202
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
上田 陽子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 流動研究員 (50755808)
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研究分担者 |
松尾 勲 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 部長 (10264285) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マウス / 細胞外基質 / 子宮圧 / 原子間力顕微鏡 |
研究実績の概要 |
ほ乳動物胚は、子宮内で発生し、子宮組織と胚の間には胎盤や胚を包む胚膜が形成される。発生過程で最初に形成される胚膜はライヘルト膜と呼ばれるが、その機能は明らかでない。本研究では、ライヘルト膜形成不全と胚の変形の因果関係を明らかにし、ライヘルト膜は子宮の圧力から胚を保護するのに必要である事を証明することを目的としている。 令和2年度は、本助成金の研究計画の最終年度であり、令和元年度末に国際誌に投稿した論文の追加実験を行い、受理を目指した。 具体的には、マイクロアレイ解析を行い、野生型胚とライヘルト膜形成不全となるラミニンKO胚の遺伝子発現を網羅的に比較した。その結果、初期胚形成に必要な遺伝子群で野生型胚とラミニンKO胚の間に発現の差はみられなかった。このことから、ライヘルト膜形成不全となるラミニン胚で見られた胚の変形は、胚の遺伝子発現の異常による細胞自律的な変形ではなく、子宮組織からの機械的な圧力によるものであることが強く示唆された。 受理された論文について、国際誌Cell Reportsに受理され、大阪科学、大学記者クラブおよび府政記者会に情報提供し、プレリリースを行った。また、この成果は「妊娠初期に胎児を覆っている膜が、子宮筋収縮によって生じる圧力から胎児を守っている」として、5月20日付け朝日新聞デジ タル及び朝日新聞夕刊社会面に掲載された。 さらに、本成果は2020年12月の第43回分子生物学会ワークショップにおいて、口頭発表した。また、第73回動物学会関東支部大会の公開シンポジウムにて本成果の一部について発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
4年計画のうち最終年度に当たる本年度は、すでにこれまでの結果を論文として国際誌に投稿しており、追加実験を行うのみであったため。 またその結果、本年度内にCell Reports誌に論文が受理された。
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今後の研究の推進方策 |
本成果をさらに発信すべく、6月に開催予定の発生生物学会にて発表予定である。 さらに、本成果で得られた結果をより鮮明にするため、さらなる実験に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の前半では、論文が国際誌に受理されrevision実験が想定よりも早く終了したため。
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