研究課題/領域番号 |
17K10213
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
辻 学 九州大学, 大学病院, 講師 (20423551)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 芳香族炭化水素受容体 / アトピー性皮膚炎 / Ovo-like 1 |
研究実績の概要 |
当該年度は、前年度のin vitroの実験を踏まえて、in vivoの実験を開始した。MC903というビタミンD3を外用することによって発症するアトピー性皮膚炎モデルを用いて実験を行なった。 MC903の外用は、マウスにおいてアトピー性皮膚炎に類似した皮膚炎を生じ、皮膚におけるTslpというTh2型の免疫反応を誘導するケモカインの産生を誘導した。また、耳介の表皮肥厚と炎症細胞浸潤を病理組織学的に認めた。これに対して、AHRのリガンドであるFICZを外用し、MC903によって生じる皮膚炎を抑制するかを検討した。FICZの外用は、マウスの表皮細胞において、AHRの標的遺伝子であるCYP1A1 mRNAの発現を増加させ、in vivoでも薬理作用を発揮することが確かめられた。また、FICZによってAHRの活性化によるFLGの発現が増加することがmRNAレベルで確かめられた。OVOL1の発現については、現在も検討中である。MC903によって生じる皮膚炎は、FICZの外用によって抑えられる傾向は認めたが、現段階では、統計学的な差を見出すまでには至っていない。MC903外用によって生じる皮膚炎の重症度は、個体によってかなりのばらつきがあることが分かったため、今後は使用する動物の数を増やして、複数回の実験を行うことで、統計的な有意差が明らかになることが期待される。また、FLG、OVOL1の発現もmRNAレベルであり、タンパクレベルでの検討を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に中間目標であったpublicationを完了し、in vivoの実験に取りかかることが可能な段階となったため。
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今後の研究の推進方策 |
アトピー性皮膚炎モデルマウスにおけるAHRの活性化、OVOL1の活性化を検討する。また、皮膚バリア機能障害がどの程度、FICZ・グリテールで改善されるかを解析する。最終的に、効率よくAHRとOVOL1を活性化するための手法・手段について、開発を進める。
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