研究課題/領域番号 |
17K10215
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
佐々木 隆子 大分大学, 医学部, 助教 (30133193)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 細胞外マトリックス / タンパク質 / リコンビナント / Hemicentin |
研究実績の概要 |
Hemicentin は線虫において初めて同定された分子量約60万の細胞外マトリックスタンパク質である。近年ゼブラフィシュの遺伝解析から、その変異がヒトの遺伝性疾患であるFraser syndrome とその類似疾患の原因遺伝子であることが示唆された。これまでのhemicentin の機能解析はほぼ線虫のみで行われており、このタンパク質の性状解析は言うまでもなく、哺乳類における発現様式ならびに機能は不明である。したがって、本研究ではヒトhemicentin をリコンビナントタンパク質として発現・精製し、性状解析ならびに機能解析を遂行し、さらに抗体を作製、マウスでの組織分布を調べることを目的とする。 初年度はこれまでに、ヒトHemicentin-1とHemicentin-2の全長cDNAを網膜色素上皮細胞と市販のヒト胎児心臓のRNAを用いてそれぞれクローニングし、発現ベクターを構築した。発現の有無をHEK293細胞を用いて調べた結果、Hemicentin-2では全長に相当するタンパクバンドが検出できたが、Hemicentin-1では、全長の約半分ぐらいの大きさのバンドがウェスタンブロットにより観察され、プロセシングされている可能性が示唆された。また、これまでに既にHemicentin-1に対する4種の抗体を作製済みであったが、これらの抗体を用いて、まずHemicentin-1のマウスにおける組織分布を解析中である。現在のところ、4種のうち1種の抗体のみで再現性の高い染色が認められた。また、Hemicentin-2のフラグメントに対する抗体も作成したが、まだ精製の必要があり、まだ組織染色には用いていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Hemicentinの全長cDNAは約15kbと長いが、一応どちらもクローニングが終わり、発現ベクターを構築できた。しかし、リコンビナントフラグメントに対する新しい抗体の作製ならびに抗体の精製はまだ進行中でり、マウスでの組織分布の解析が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
構築した発現ベクターを用いて、リコンビナントタンパク質の発現・精製を試みる。精製できれば、全長のタンパク質に対する抗体を作製するとともに、タンパク質の性状解析を進行する。もし、全長のタンパク質の発現・精製が不可能な場合は、全長をカバーするいくつかのフラグメントを作製し、解析に用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
フラグメントの発現・精製の遅延により、抗体作製をまだ始めることができなかった。また、タンパク質精製のためのカラムの購入は今年度まだ必要なかったので、次年度以降に購入することにした。
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