本研究の目的は、ケモカインELC/CCL19とその新規受容体の相互作用解析を通じて、ELC/CCL19の新規受容体を介した生理的および病理的役割を解明することにある。研究代表者は、これまでにELC/CCL19がGPCR#13に対して既知の受容体であるCCR7と同様に、強い細胞遊走活性を示すことを見出した。そして、前年度までに、ヒト末梢血正常細胞において、CCR7の発現していないエフェクター細胞にGPCR#13が広く発現していること、乾癬患者の病変皮膚において、ELC/CCL19およびGPCR#13の発現が重症度と相関することを明らかにした。 本年度は、イミキモド誘発乾癬モデルマウスにおいて、CCL19-GPCR#13系の乾癬への関与について検討した。モデルマウスに、親水性ゲルパッチによるCCL19の貼付およびヒト末梢血単核細胞の静脈内投与を行った後、耳介皮膚を回収し、H&E染色およびフローサイトメトリーを行った。その結果、CCL19処置により、皮膚の肥厚の増大、病変部へのGPCR#13発現エフェクター細胞の浸潤が認められた。 以上より、ELC/CCL19は、エフェクター細胞の遊走を介して乾癬の病態形成において重要な役割を果たす可能性が示された。
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