研究課題
本研究では、ヒト表皮角化細胞動態解析とマウス皮膚創傷治癒モデルを組み合わせることによって、表皮組織の再生原理の解明を目指す。具体的には、培養表皮シート形成および皮膚組織片からの角化細胞遊走における細胞動態(分裂周期や移動速度・方向)をライブイメージングにより解析し、その数理モデル化から表皮シート形成や創傷治癒のin silico再構成を行い、表皮再生に必須な細胞動態を定量的に明らかにする。さらに角化細胞の増殖や運動に必須であるEGFRシグナルを、培養表皮シート形成やマウス皮膚創傷治癒モデル、糖尿病罹患ヒト皮膚組織片からの細胞遊走実験において人為的に制御することで、表皮再生における細胞動態の分子機構を解明する。本年度は、ヒト表皮角化細胞からの培養表皮シート形成やヒト皮膚組織片からの角化細胞遊走における細胞動態をライブイメージング実験および細胞動態のモデル化とシミュレーションによるin silico実験から明らかとなった表皮再生原理の根幹をなす細胞動態を制御する分子機構について解析を行い、新たなシグナル伝達経路を同定することに成功した。また、マウス皮膚創傷治癒モデルでも、同定されたシグナル伝達経路が創傷治癒に関与していることが明らかとなった。さらにヒト潰瘍サンプルの解析から、細胞同動態の変化が、創傷治癒の不全をもたらしている可能性を示唆する結果を得ることができた。以上より、表皮再生原理の中心的な細胞動態の分子機構を明らかにすることが出来た。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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