研究課題/領域番号 |
17K10234
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
知野 剛直 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (20521397)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マウス胎仔治療 |
研究実績の概要 |
申請者のグループが作成したDMKN-β/γ欠損マウスでは、胎仔期から顆粒層などの表皮の肥厚や免疫異常が認められ、出生後に顕著な落屑やバリア機能異常が認 められる。現在グループ内でDMKN-β/γの役割に関して詳細な検討を進めているが、本研究ではDMKN-β/γ欠損マウスの胎仔にDMKN-βの機能を回復しうる蛋 白、ペプチド、全性能を保持する間葉系幹細胞などを投与して、胎仔治療の効果を検討する。 実験方法として、①リコンビナント蛋白DMKN-β、②DMKN-βの機能活性部位Glo2のペプチド、③マウス骨髄間葉系幹細胞、④マウス胎仔血液内間葉系幹細胞 をマウス胎仔循環系を通して投与予定である。 解析方法としては、DMKN-β/γ欠損マウスにおいて、胎仔治療により出生後の皮膚バリア機能や免疫異常が改善するかどうかを確認する。①マウス新生仔の皮膚バリア機能や角化異常の解析。(Ⅰ)HE染色による組織学的検討: 顆粒層の肥厚、表皮の肥厚など。(Ⅱ)電子顕微鏡による検討: ケラトヒアリン顆粒、周辺帯、ケラチン線維束、角層のコルネオデスモゾームなどの形態学的異常。(Ⅲ)経皮水分蒸散量、角質水分量、角層透過性、天然保湿因子などの測定。(Ⅳ)免疫染色、real time PCR、Western blotーフィラグリン、ロリクリン、インボルクリンなどの発現。②マウス新生仔の皮膚免疫の解析。(Ⅰ)免疫染色による組織学的検討: 表皮内のγδT細胞、 Langerhans細胞の数。真皮のT細胞や樹状細胞の数。(Ⅱ)フローサイトメトリーによる検討: 個々のサブセットの活性化やサイトカイン産生能。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在、DMKN KOマウスの皮膚の解析に時間がかかっている。皮膚バリア機能や角化異常の解析を中心に行っている。解析が済み次第、本実験を主体として取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
申請者らは、独自に作成した胎仔期から顆粒層などの表皮の肥厚や免疫異常を認めて、出生後に顕著な落屑やバリア機能異常を伴うDMKN-β/γ欠損マウスを、胎仔治療により出生後の皮膚バリア機能や免疫異常の改善を目指して、現在研究を進めている。まずは、①ヒトで魚鱗癬および炎症性角化症の治療薬であるレチノイド(ビタミンA誘導体)を、羊水内投与することでマウス胎仔に薬を飲ませ、生後その治療効果を検討する。さらに、②骨髄間葉系幹細胞をマウス胎仔循環系に直接投与することで、生着した投与細胞が治療効果を有するのか検討する。また、ヒトDMKN-βの機能を回復しうる蛋白・ペプチドもマウス胎仔に投与予定であるが、最近ヒトDMKN-βのコアドメイン部分とマウスでは違うことがわかってきており、投与しても効果がないことが予想され、投与をためらっている理由である。①、②を主体に、順次実験を進める予定である
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