研究課題/領域番号 |
17K10242
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大塚 篤司 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60582054)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 神経ペプチド / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
皮膚末梢神経が免疫細胞の機能を調整していることが近年報告された。皮膚末梢神経を除去したマウスではイミキモド誘発型乾癬様皮膚炎モデルの炎症が減弱する。また、皮膚カンジダ感染では皮膚末梢神経が神経ペプチドCGRPを放出することで真皮樹状細胞の機能を亢進させ、感染防御に働く。しかし一方で、皮膚末梢神経の伸長が観察されるアトピー性皮膚炎を始めとする皮膚アレルギー疾患での末梢神経の病態関与は不明である。本研究では、皮膚免疫応答のプロトタイプである接触皮膚炎モデルマウスを用いて、末梢神経と免疫細胞の関係を明らかとする 薬剤的除神経(確立済み)は、TRPV1のアゴニストであるレシニフェラトキシン(RTX)これら2種類の除神経モデルにて、アレルギー性接触皮膚炎における末梢神経の働きを検証する。我々は既にアレルギー性接触皮膚炎が除神経で低下することを見出した。 また、アレルギー性接触皮膚炎モデルにて除神経処置を行った際、リンパ節に移入するCD11b陽性樹状細胞が減少していた。 除神経モデルを用いてDRGの解析を行った。その結果、PACAPの発現がコントロールマウスに比べ除神経を行ったマウスで有意に減少していることを見出した。また、ハプテン塗布した感作後のDRGでは、PACAPの発現が亢進していた。一方、樹状細胞のmRNAを解析した結果、PACAP受容体を発現していることを確認した。 最後に、除神経モデルで減弱した接触皮膚炎はPACAPの局所投与で改善されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
樹状細胞に作用する神経ペプチドPACAPを同定した。これは当初の計画どおりである。
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今後の研究の推進方策 |
同定した神経ペプチドPACAPとその阻害剤を用いて、in vivoにおける樹状細胞及び皮膚アレルギー疾患への影響を検討する。具体的には、PACAPを皮下注射した際の樹状細胞の活性化、リンパ節への移入をFITC migrationアッセイもしくはカエデマウスを用いた解析で確認する。更に、PACAPの阻害剤を用いて、皮膚アレルギー疾患動物モデルにおける神経ペプチドの働きを検証する。前述したアレルギー性接触皮膚炎、ハプテン反復塗布モデル、OVA抗原タンパク貼付モデルマウスに神経ペプチド阻害剤を投与することで、末梢神経から免疫細胞を介して起こす皮膚アレルギー疾患の経路を直接的に証明する。また、アトピー性皮膚炎の病態における神経ペプチドの関与をFlaky tailマウス用いて検証し新規治療ターゲットの可能性を探る
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度実験予定であった計画を一部変更したため。 具体的には、in vivoの実験を先に行ったためin vitroの用いる試薬を次年度購入に変更した。
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