研究課題/領域番号 |
17K10246
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山本 真有子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (20423478)
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研究分担者 |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10303223)
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
石元 達士 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (40750039)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 強皮症 / トール様受容体 |
研究実績の概要 |
近年全身性エリテマトーデス(SLE)や全身性強皮症(SSc)など多くの自己免疫疾患において、トール様受容体(TLR)シグナルを介したインターフェロンによる自然免疫の活性化が病態形成に関与していることが明らかになってきた。我々はTLR7アゴニストであるイミキモド(IMQ)やレジキモドの外用によって野生型マウスにループス様自己免疫疾患を誘導することを報告した。一方、SScの病態におけるTLR7シグナルの関与については明確ではない。本研究ではSScの病態におけるTLR7を介するシグナルの関与を明らかにするため、TLR7依存性の全身性自己免疫疾患モデルマウスの皮膚組織の解析を行った。Unc93B1D34Aマウス(D34Aマウス)は小胞体からエンドソームへのTLR9とTLR7の輸送バランスを制御するUnc93B1に変異を持つ。Unc93B1は通常TLR9を優先的に輸送することで、TLR9シグナルを優位に保っている。D34AマウスはUnc93B1の変異によりTLR9の輸送が阻害され、相対的にTLR7シグナルが優位となり、脾腫、肝障害、血小板減少などのSLE様症状を自然発症する。D34Aマウスは10週前後で死亡する個体が現れ、生後30週において死亡率が約60%である。このマウスの背部皮膚を採取し、真皮の肥厚の程度、線維化の指標としてハイドロキシプロリン濃度測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
D34Aマウスと野生型B6マウスの背部の皮膚を採取し、病理組織学的に真皮の厚さを測定した。雄においてD34Aマウスの背部の真皮厚は野生型と差がなく(312±127μm, 337±72.4μm)、雌も同様にD34Aと野生型の間で差はなかった(170±37μm, 159±27μm)。また、D34Aマウスにおいても野生型においても雄は雌に比較して有意に真皮が厚かった。D34Aマウスは自然発症で脾腫を呈するが、脾腫の程度と真皮の厚さとの間に相関はみられなかった。同検体を用いて測定したハイドロキシプロリン濃度は、真皮厚を反映しており、雄においてD34Aマウスと野生型の間で差はなかった(23.87±5.86μg/mg, 21.05±4.06μg/mg)。D34Aマウスの雄が雌に比較してハイドロキシプロリン濃度が高かった(23.87±5.86μg/mg, 10.92±4.26μg/mg)。雌の野生型マウスのハイドロキシプロリン濃度は今後測定する予定である。以上より、D34Aマウスは自然経過で強皮症様の皮膚硬化を示すことはないことが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はブレオマイシン投与による強皮症誘導系について、D34Aマウスと野生型マウスの間に発症時期、重症度に差があるか評価し、ブレオマイシンによる強皮症の病態におけるTLR7シグナルの関与について検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初発症すると予測していた変異マウスの皮膚硬化が発症しなかったため、予定していた解析の一部を実施しなかったことにより次年度使用額が生じた。次年度は誘導系を用いた解析を行う予定である。
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