研究課題
重症薬疹の一つである薬剤性過敏症症候群(DIHS)の病態形成に、HHV-6再活性化の関与が示唆されているが、その機序については不明な点が多い。本研究はDIHSの経過中に発現するHHV-6由来miRNAを同定・解析することにより、DIHSの病態形成プロセスを明らかにすることを目的としている。初年度は、DIHS急性期においてHHV-6再活性化時に血清中および単核球中にHHV-6前初期遺伝子のアンチセンスにコードされているhhv6b-miR-Ro6-2とhhv6b-miR-Ro6-3が検出されることを見出し、さらにhhv6b-miR-Ro6-2、-3の発現と有熱期間との間に有意な相関を認め、hhv6b-miR-Ro6-2のレベルは皮疹重症度とも関連することを明らかにした。2年目は、DIHSと診断した43症例中8症例に急性期を過ぎても長期に渡りHHV-6の持続感染がみられ、これらの患者群では、DIHS回復期に自己免疫疾患/慢性炎症性疾患を高頻度で合併することを見出した。そこで最終年度では、引き続きHHV-6持続感染がDIHS後の自己免疫疾患の発症にいかなる役割を担っているのかを解明するために、DIHS後に自己免疫疾患を発症した症例について、経時的にHHV-6 DNA量、HHV-6由来各種miRNAならびにmRNAの発現、免疫状態についての解析を進めた。その結果、 DIHS後に自己免疫疾患を発症した群では、慢性期にsIL-2R高値、HHV-6 immediate early gene(U90)mRNAの発現をみとめた。一方miRNAの発現については急性期にhhv6b-miR-Ro6-2、-3の高値をみとめたものの、慢性期には既知のmiRNAは検出されず、現時点ではHHV-6由来miRNAの慢性期の病態への関与の証拠は得られていない。
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