研究課題
本研究はアトピー性皮膚炎モデルにおいてマスト細胞の活性化・抑制に関わる分子をin vivoでスクリーニングする方法の開発を行う。昨年度までにIL1RL1分子の欠損がアトピー性皮膚炎に関わることが判明している。IL1RL1分子はマスト細胞のほか、2型自然リンパ球、一部のCD4陽性ヘルパーT細胞、線維芽細胞など多彩な細胞に発現が認められるが、骨髄由来マスト細胞を作製してIL1RL1のリガンドであるIL-33とIgEおよび抗原刺激を組み合わせると、炎症性サイトカインの増加が認められたことから、スクリーニングのポジティブコントロールとしてIL1RL1およびIgE受容体を選定した。また、昨年度までに活性化状態の記録方法についての検討を行い、細胞内染色によるマスト細胞の活性化指標となる分子を骨髄由来マスト細胞を用いてフローサイトメトリー法での発現を確認したところ、MCP-1が鋭敏な指標となる可能性が示唆されていた。しかし、マウス皮膚に対して免疫染色を行ったところ、定常状態においてもMCP-1のタンパク発現がマスト細胞に認められたことから、in vivoにおいては、活性化指標分子としてMCP-1を利用することができないことが明らかになり、これまでのフローサイトメトリー法で骨髄由来マスト細胞を用いた活性化記録法の検討が十分でないことが判明した。また、本研究のスクリーニングにおいてはゲノム編集の手法を用いる予定であるが、昨年までにCas9を発現するレトロウイルスベクターの作製に成功したが、マグネットを利用した方法などを試みてもプライマリー細胞への感染効率が上がっておらず、Cas9をタンパク質として導入する方法など他の方法についても検討が必要である。
4: 遅れている
In vitroにおいてはMCP-1が鋭敏な指標として利用可能であったが、in vivoにおいては、MCP-1が活性化の有無に関わらずタンパクとして発現していることが判明したため、活性化指標分子については別の分子を検索する必要が生じた。
活性化指標の分子の選択まで遡る必要が生じたため、他の活性化候補分子(IL-6, IL-13など)についてもin vivoでの有用性についての再検討を行う。
コロナ対応および予見できなかった計画変更があり、研究が遅延したため次年度使用額が生じた。活性化指標分子の再検索に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
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