研究課題
慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者血清中に、IgEに対する自己抗体(抗IgE抗体)や高親和性IgE受容体(FcεRI)α鎖に対する自己抗体(抗α鎖抗体) が検出されるが、これらの抗体の臨床的意義は明確ではない。本研究では抗IgE抗体であるオマリズマブを用いた治療においてこれらの自己抗体がどのように関係しているかを調べた。昨年度までにCSU患者群の方が健常群に比べ抗IgE自己抗体によるFcεRI架橋能が有意に高いことから、CSUの病態には抗IgE自己抗体が関与していると考えられた。そのためIgEを阻害するオマリズマブはCSUに有効であると考えられる。我々はCSUに対するオマリズマブの効果にはすぐに効果の表れるFast群と効果が緩徐に表れるSlow群があることを示した。昨年度よりオマリズマブの投与例を43例まで増やした。一部の患者において遊離IgEの測定を行い、経時的な変化を観察したが、fast群とslow群との関連性はみられなかった。抗IgE抗体など他の項目もオマリズマブの治療効果や再発を予測する因子にはならなかった。重症蕁麻疹の治療としてはオマリズマブのほかにシクロスポリン(CysA)がある。有効性についてもバイオマーカーを検索した。自己血清皮内テスト(ASST)が陰性のCSU患者とASSTが陽性のCSU患者の間で、治療前の重症度および抗FcεRIおよび抗IgEおよびFcεRI架橋能のレベルを含む臨床背景に有意差はなかった。またCysA治療前後のUAS7(Urticaria Activity Score 7 )の変化に、ASST陽性の患者で有意差が認められた。またUAS7が6以下のコントロール良好な患者の血清IgEレベルは、UAS7が6以上の患者の血清IgEレベルよりも有意に低かった。以上よりCysAのCSUに対する有効性はASSTと血清IgEが有用であることが示唆される。
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