研究課題
本研究の目的は、このヒトiPS細胞由来メラノサイトのさまざまな臨床応用へのステップである。①白斑や脱色素斑への移植を含めた再生医療への展開を進めていく。広範囲の白斑への移植ではより効率よく大量に増殖させるヒトiPS細胞由来メラノサイトが大きな貢献を及ぼす。②悪性黒色腫とヒトiPS細胞由来メラノサイトを比較し、治療への手がかりにする。③美白化粧品の主成分である様々な物質のメラノサイトへの効果を検証する試験への使用で、美白化粧品開発に利用できる。③で興味深いデータがでたので以下に記載する。本研究で作成したヒトiPS細胞由来メラノサイトの培地に、美白化粧品の主成分である様々な物質を添加してメラニン色素への効果を検証する。コウジ酸の美白効果を検証した。マトリゲル下で5週間培養したヒトiPS細胞由来メラノサイトにコウジ酸を70 μg/mL 添加し、無添加と比較した。コウジ酸を添加した細胞では、紡錘形がやや強まっている形状を呈した。A650/A500比は、検体がユーメラニン性かフェオメラニン性かを示す。ユーメラニンは0.25-0.33で、フェオメラニンは0.10-0.15で、コウジ酸添加で値が低下しておりフェオメラニン性に傾いた。PTCAはユーメラニンのマーカー。フェオメラニンは、ベンゾチアジン骨格とベンゾチアゾール骨格の二つの構成成分から構成され、4-AHPはベンゾチアジン骨格、TTCAはベンゾチアゾール骨格のマーカー。PTCAはコウジ酸添加で変化なし。4-AHPとTTCAは、コウジ酸添加で増加した。すなわち、コウジ酸はフェオメラニンを増加させて、黒色を淡く見せる効果があると推測した。今後は、ハイドロキノン、ロドデノールの添加をすすめる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
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