エピジェネティックな遺伝子修飾の精神疾患における役割が示唆されつつある。本研究は、発達期脳内でのエピジェネティックな遺伝子発現調節制御が成長後のストレス耐性や認知・社会的機能といった行動的側面、形態・生理的反応に影響を与えることを探り、DNAメチル化を介した不安や恐怖反応などの不安に関連した行動上の変化が次世代に継承しうることを検証したものである。生後の生活環境ストレスが、次世代にまで影響をもたらす可能性があることは学術上においては精神疾患の新しい脆弱性仮説に繋がり、社会的には子世代の結果が親世代にまで遡って影響がありうることで様々な環境ストレス対策への理論的寄与の一助となると考えている。
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