研究分担者 |
中里 道子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (10334195)
渡邉 博幸 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任教授 (20302557)
伊豫 雅臣 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50191903)
竹内 崇 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (70345289)
寺尾 岳 大分大学, 医学部, 教授 (80217413)
佐藤 泰憲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (90536723)
|
研究実績の概要 |
本研究課題は、治療開始時期から将来の妊娠を考慮する「性差に基づく精神科薬物療法」の確立・普及に向けたエビデンス創出を目的に実施している。 (1)レセプトデータベース(NDB)を用いた処方調査を行った。2014年度の国内の外来処方錠数を分析したところ、妊娠可能年齢女性に処方を控えるべき催奇形リスクの高いバルプロ酸処方は、15-29歳・30-49歳ともに、同年男性よりわずかに低いにとどまっており、同年齢区分の男性に比してわずかに少ない程度に留まっており、将来の妊娠を考慮した処方がなされていない可能性が示唆された(Yoshimura, Hashimoto, et al, Clinical Neuropsychopharmacology and Therapeutics. 2018)。 (2)精神科医を対象とした気分障害と妊娠に関するアンケート調査は、国内1,414施設に4,816部の質問紙を配布し571名(11.9%)の回答を得た。主な結果であるバルプロ酸処方に関して有効回答513名中、妊娠期の双極性障害では、「全く処方しない:387名(75.3%)」に対して、妊娠可能年齢である青年期(18から24歳)においては「全く処方しない:23名(7.5%)」、「あまり処方しない:69名(22.5%)」と30%しか処方を控えておらず、妊娠可能年齢の双極性障害女性への処方配慮が足りないと示唆された(Tachibana, Hashimoto, et al. Frontiers in Psychiatry (in press))。 (3)心理・社会的困難を有する妊娠女性とその児および家族に関する前向き観察研究は令和2年4月24日現在、登録症例60例を超えて現在進行中である。 (4)周産期精神科薬物療法の教育効果の検証研究は、(1)(2)の結果も交えた教育資料を作成し現在倫理審査委員会へ申請中である。
|