• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

早期発症統合失調症における感受性遺伝子の多型依存的発現による分子基盤変化の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K10267
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

上里 彰仁  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (90547449)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード統合失調症 / 遺伝子関連解析
研究実績の概要

本申請者らはこれまで、欠失により統合失調症発症リスクが40倍となる3q29部位に存在し、グルタミン酸受容体足場タンパクをコードするDLG1の新規機能バリアント分子を発見した。更にこのバリアントは霊長類特異的なものであることを突き止め、その発現が早期発症統合失調症において遺伝子型依存的に顕著に低下することを見出した。本研究においては、早期発症の危険因子として、グルタミン酸神経伝達系における多様な後シナプス分子基盤の均衡的統括の障害を仮定し、早期発症統合失調症死後脳の生化学的解析、ゲノム解析、細胞生物学的モデル解析の3方面の研究方法を用いることにより、その分子病態を詳細に検討することを目的としている。
本年度の研究実績として、1808名の統合失調症患者と2170名の健常対照者よりなる日本人コホートを用いてDLG1の遺伝子関連解析を行った。新規バリアントのエクソン(exon 3b)内に存在するsingle nucleotide polymorphism (SNP) rs3915512はexonic splicing enhancerの配列の一部であり、このSNPが統合失調症と遺伝的関連があることを見出した。発症年齢を考慮した解析では非早期発症統合失調症において関連が見出された。この発症年齢特異性は、死後脳におけるDLG1バリアントの発現が早期発症統合失調症において低下しているとした最近の報告と一貫している。これらの所見は、グルタミン酸神経伝達において霊長類特異的なバリアントが、統合失調症の発症にどのように関連しているかに分子化学的な説明を与える可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

われわれは統合失調症の病態におけるグルタミン酸神経伝達の異常を仮定している。本研究では、グルタミン酸伝達において重要な役割を果たしていると考えられる遺伝子が、統合失調症と遺伝的関連があることを見出され、仮説の検証を進める道筋を立てることができた。

今後の研究の推進方策

グルタミン酸神経伝達に関連する他の遺伝子にも着目し、遺伝子関連解析を行うと同時に死後脳を用いた発現解析を行う。
さらに遺伝子ノックダウンによるパスウェイ上の遺伝子発現変化をマイクロアレイ等で測定した公開データベースを用いて、これらの遺伝子に関してin silico解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度に使用した旅費が予定より少なかった。また人件費・謝金が不必要であった。
次年度は国際学会での発表を計画しているためこれに用いる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 統合失調症とグルタミン酸2018

    • 著者名/発表者名
      上里彰仁、西川徹
    • 雑誌名

      精神科

      巻: 32 ページ: 222~226

  • [雑誌論文] Genetic and molecular risk factors within the newly identified primate-specific exon of the SAP97/DLG1 gene in the 3q29 schizophrenia-associated locus2017

    • 著者名/発表者名
      Uezato Akihito、Yamamoto Naoki、Jitoku Daisuke、Haramo Emiko、Hiraaki Eri、Iwayama Yoshimi、Toyota Tomoko、Umino Masakazu、Umino Asami、Iwata Yasuhide、Suzuki Katsuaki、Kikuchi Mitsuru、Hashimoto Tasuku、Kanahara Nobuhisa、Kurumaji Akeo、Yoshikawa Takeo、Nishikawa Toru
    • 雑誌名

      American Journal of Medical Genetics Part B: Neuropsychiatric Genetics

      巻: 174 ページ: 798~807

    • DOI

      10.1002/ajmg.b.32595

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 〔特集〕「統合失調症」再考(Ⅱ):死後脳研究は統合失調症の理解に何をもたらしたか?2017

    • 著者名/発表者名
      上里彰仁
    • 雑誌名

      精神医学

      巻: 59 ページ: 1107~1114

  • [学会発表] 統合失調症におけるDLG1(SAP97)の分子遺伝学的研究2017

    • 著者名/発表者名
      上里彰仁
    • 学会等名
      日本生物学的精神医学会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi