研究課題
Clozapine(CLZ)は治療抵抗性統合失調症に唯一有効な薬剤であり、臨床効果が期待できる反面、無顆粒球症、顆粒球減少、耐糖能異常などの重篤な副作用が出 現するため、この薬剤の治療が十分普及しているとは言えない。このため、CLZの安全性向上は急務であるが、その副作用のメカニズムは解明されておらず、予 測、回避も困難である。本研究では、これまでに行ってきた薬理遺伝学的手法を用い、CLZ誘発性糖代謝異常、体重増加のメカニズム解明、遅延型免疫反応がCLZ 誘発性無顆粒球症、顆粒球減少に関与しているという仮説の検証を目的とした。 今年度は、クロザピンを開始する症例、現在内服中の症例についてのサンプリングを行い、データの収集を行った。第115回日本精神神経学会において、クロザピン内服中の炎症系サイトカインについて発表を行った。第29回日本臨床精神神経薬理学会におい て、統合失調症を対象とした中性脂肪値と抗精神病薬についての関連について発表を行った。同様に、抗精神病薬内服中の統合失調症 における中性脂肪値と非定型抗精神病薬との関係についてClinical Neuropsychopharmacology and Therapeutics誌に論文を投稿した。 今後、クロザピン以外の非定型抗精神病薬も含め検討することを計画している。
3: やや遅れている
クロザピンを新たに開始する症例が少なく、サンプリングがやや遅れている。また新規クロザピン開始以外の、現在内服中のサンプリングもやや遅れている。
精神医療センター、新潟大学医歯学総合病院にて引き続きサンプリングを継続して行う。現在クロザピン内服中、クロザピンを中止した症例についてもサンプリングを行い、解析 を行っていく。
クロザピン内服開始例、内服中の症例、また非定型抗精神病薬内服例のサンプリングの収集が今年度計画していた予定症例数に達せず、そのため必要な検査項目 が目標数に達しておらず、進捗がやや遅れているためである。引き続き、クロザピン症例のサンプリングを行っていく。
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Clinical Neuropsychopharmacology and Therapeutics
巻: 11 ページ: 15~22
https://doi.org/10.5234/cnpt.11.15