研究課題/領域番号 |
17K10271
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
杉山 暢宏 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (30422695)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 女性ホルモン |
研究実績の概要 |
新規生理活性ステロイドΔ5-Androstendiol(Δ5-diol)と5α-androstane-3β,17β-diol(3βAdiol)の抗うつ効果を検証するために,信州大学医倫理委員会によって認可された実験計画に基づき,昨年度に引き続き,被験者のリクルートならびに心理検査,検体採取,ステロイドホルモン分析を行った. 2017年度2名,2018年度7名,2019年度は女性5名,男性13名の被験者に加えて,本年度はさらに女性10名,男性12名の被験者に協力を得ることができた.これまでの4年間で,検体数として97検体を分析した.全体で女性24名,男性25名のデータ(身長体重年齢など被験者の基礎情報,心理検査の結果,Δ5-Androstendiolの値,5α-androstane-3β,17β-diolの値,など)をプロットし,統計解析を行い,大まかなデータの傾向をつかんだ.今後はこれまでのデータを詳細に分析し,これまでの国内外の先行研究とも比較しながら,考察を進めていく方針とした. 昨年度に続き,学術集会に参加したり,文献検索を行うことで,国内外のステロイドホルモン受容体研究の動向を継続的にフォローした.国際的には産後うつ病の治療薬としてアロプレグネノロンの薬理作用に注目が集まっている.我々の研究テーマとするステロイドホルモンは別のカテゴリーに属しており,その分新規性が高く,今後研究が進むことで,全く新しい機軸となる可能性を秘めていることが分かった. また,世界的な新型コロナウイルス感染症の影響で精神面の不調を訴える人が増えているが,社会的に弱い立場に置かれることが多い女性に,特に深刻な影響があると考えられる.女性のメンタルヘルス向上はこれまで以上に重要な課題となっており,我々の女性ホルモン研究が寄与できる可能性が高まっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者のリクルートが順調に進み,これまでの27例に加えて,本年度はさらに女性10名,男性12名,検体数として42検体を分析することができた.外部委託のステロイド分析についても,検体の運搬やデータの納品など全てのプロセスにおいて,問題なく行うことができていた. これまでのデータについては適宜統計解析を行い,大まかのデータの傾向を把握し,今後の研究遂行の方針を決定できた. 被験者のリクルートから検体採取までのプロセスは,承認された研究計画書に基づきスムースに行われており,被験者の身体的心理的ストレスに最大限配慮した体制をとることができている. 以上より,プロジェクトは見通しをもって,おおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,これまでのデータを詳細に分析し,国内外の先行研究と比較しながら考察を進め,論文発表の準備を鋭意進める方針である. 関連学会への出席により,同じ領域の研究者と広く意見交換しながら,論文の構想を練る予定としている. また,今回のプロジェクトの結論を踏まえ,次のプロジェクトの計画についても,準備を進めたい. 研究成果は教室のホームページをはじめとして広く周知していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由) 当初予定していた検体検査の外部委託(血清ステロイドの精密測定)の一部が,次年度となったため,次年度使用額が生じた. (使用計画) 次年度使用額は令和3年度請求額とあわせて,検体検査の外部委託(血清ステロイドの精密測定)の費用として使用する.
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