研究課題/領域番号 |
17K10272
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩本 邦弘 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (50569796)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 双極性障害 / 運転技能 / 認知機能 / 向精神薬 / 運転適性 |
研究実績の概要 |
根拠となる証左が乏しい中,自動車事故新法や添付文書により,精神障害者の自動車運転が一律に制限され,患者の運転適性判断は喫緊の課題となっている。特に,社会活動性が高い双極性障害やその治療薬が運転技能に与える影響は科学的検証が為されておらず,臨床現場において運転可否の判断は困難である。そこで,本研究は,双極性障害患者の運転技能の実態を検証し,運転技能に影響する要因を明らかにすることで,臨床現場でも評価可能な,運転適性を判断する臨床指標を抽出することを企図した。 初年度については,病状が安定した双極性障害患者30名を対象に,運転シミュレータを用いて,追従走行課題,車線維持課題、飛び出し課題の日常運転に必要な運転技能の3課題を行った。また,認知機能検査として,Continuous Performance Test,Wisconsin Card Sorting Test,Trail Making Testの3 課題を行った。さらに,Young躁病評価尺度,Hamiltonうつ病評価尺度,Beckうつ病自己評価尺度,社会適応度自己評価尺度,Stanford眠気尺度を評価し,処方薬および普段の運転行動も調査した。対照群として,日常的に運転を行い,問診と精神科診断面接により,精神障害を有さないことを確認した健常者31名を対象に,患者群と同様の評価を行った。 予備的な解析では,患者群は健常群に比し,運転技能については統計学的に有意に異ならなかったが,一部の認知機能検査成績については患者群で有意に低下しており,サンプル数を拡大し,次年度においても慎重に検証を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度のサンプリング数としては30名を収集し,研究計画は概ね順調に進んでいる。また,初年度の研究実績においては,有害事象などは認めず,被験者にも配慮しながら,安全かつ適確に研究が実施できた。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き,次年度についても100症例を目標にサンプリングを継続する。目標サンプルの半分まで収集が進んだところで,中間解析を施行する。参加者のリクルートのために,当施設および関連施設への協力も呼びかけ,研究が推進するように対策を行っている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
関連施設との連携が構築されていたために,研究打ち合わせの回数を減らすことができ,次年度使用額が生じた。今後,新たな関連施設でのサンプリングも予定し,運転シミュレータ一式や実験補助者の謝金,成果発表のための旅費に対して使用する計画である。
|