研究課題/領域番号 |
17K10274
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
高橋 弘 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (20415582)
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研究分担者 |
由利 和也 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (10220534)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グルタミン酸トランスポーター / ストレス / うつ症状 / EAAT2 / グルタミン酸受容体 |
研究実績の概要 |
本研究は,グルタミン酸トランスポーターを標的とした新規抗ストレス薬・抗うつ薬の創薬研究であり,ストレス負荷によるEAAT2発現変化及びグルタミン酸シグナル伝達系の変化を詳細に検討することを目的としている。 急性ストレスを負荷したマウスは,ストレス負荷をしていないマウスと比較して,オープンフィールド試験で不安行動が上昇し,扁桃体のEAAT2発現の上昇が認められた。次いで,慢性ストレスを負荷したマウスについて,ショ糖嗜好性試験によりうつ症状の主症状である興味の消失を測定した。同程度のストレス負荷を行ったが,約4割のマウスはストレス抵抗性を示し,6割のマウスは脆弱性を示した。慢性ストレス負荷したマウスは,ストレス負荷をしていないマウスと比較して,ストレス抵抗性・脆弱性両群共に副腎の重量増加が認められた。抵抗性群でも同様にストレス反応が起こっていたことが示唆される。また、慢性ストレス負荷は,EAAT2発現を減少させた。これらは,急性ストレスがグルタミン酸シグナルを抑制し,慢性ストレスがグルタミン酸シグナルを促進すると考えられた。さらに、このEAAT2発現減少と遂行能力の低下に相関傾向が認められた。最終年度では、グルタミン酸受容体のリン酸化を定量した。慢性ストレス負荷は、グルタミン酸受容体のリン酸化を低下させた。この減少と遂行能力の低下に相関傾向が認められた。 以上の結果より、ストレス負荷によりグルタミン酸トランスポーターの発現変化およびグルタミン酸受容体の変動が観察された。これらを標的とした新しい抗ストレス薬・抗うつ薬の開発が期待される。
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