研究課題/領域番号 |
17K10280
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
下田 和孝 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30196555)
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研究分担者 |
渡邊 崇 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10621451)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | pharmacokinetics / pharmacogenetics / enantiomer / venlafaxine / mirtazapine / CYP2D6 |
研究実績の概要 |
Venlafaxine(VEN)は、主にCYP2D6によって、活性代謝産物であるO-desmethylvenlafaxine(ODV)に代謝される。本研究では、日本人を対象としてVENとODVの血漿中濃度を測定した。日本人におけるVENの薬物動態の人種的特徴を特定することを目的とした。【方法】対象はVENの投与を1週間以上受けた13例でVEN、ODV血漿中濃度をHPLC法により測定し、ODV/VEN比を計算した。更にVENの補正投与量(1日投与量を体重当たりで補正した値)とVENおよびODV血漿中濃度、ODV/VEN比の間における相関関係を検討した。【結果】診断名は11例がうつ病、全般性不安障害、社交不安障害が各1例だった。平均年齢(±標準偏差)55.7±16.9歳、平均体重58.3±13.4kg、平均VEN1日投与量=63.5±41.4mg、補正投与量1.1±0.8mg/kgであった。測定結果は、平均血漿中濃度がVEN=55.4±60.4ng/ml、ODV=140.0±118.9ng/ml、補正投与量で補正した平均血漿中濃度はVEN=47.1±40.8ng/ml/kg/mg、ODV=121.4±35.4ng/ml/kg/mg、ODV/VEN比は5.3±5.2であった。補正投与量と補正血漿中濃度との相関係数は、VENとの間で0.57(p=0.043)、ODVとの間で0.94(P<0.001)であった。補正投与量とODV/VEN比との相関係数は-0.18(p=0.52)であった。VEN投与を受けた日本人において、ODV血漿中濃度はVEN血漿中濃度の5.29倍と高値だった。また、ODV血漿中濃度と補正投与量との間に有意な正の相関が認められた。本研究の限界として、光学異性体分離を行っていないことが挙げられ、今後、光学異性体血漿中濃度を含め解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにvenlafaxine服用中の患者40名からのサンプルを蓄積して、サンプル収集は順調に進行している。Venlafaxineの血中濃度測定の方法論の確立は既に完了しており、venlafaxineの光学異性体ごとの血中濃度測定が順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
Venlafaxine服用中の患者からのサンプルを継続的に収集し、十分なサンプル数を確保することに努める。また、venlafaxineの代謝物血漿中濃度、それらの光学異性体血漿中濃度、およびグルクロン酸抱合体血漿中濃度の測定を行い、population pharmacokineticsを用いた解析を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成29年度にEuropean College of Neuropsychopharmacologyに参加しなかったためである。
(使用計画)平成29年度にEuropean College of Neuropsychopharmacologyに参加しなかったために生じた残金についてはCYP2D6遺伝子解析費用およびvenlafaxine血中濃度測定用試薬費用に充当する予定である。
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