研究課題/領域番号 |
17K10280
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
下田 和孝 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30196555)
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研究分担者 |
渡邊 崇 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10621451)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | pharmacokinetics / pharmacogenetics / enatiomer / venlafaxine / mirtazapine / CYP2D6 |
研究実績の概要 |
Venlafaxine(VEN)は、主にcytochromeP450(CYP)2D6によって、活性代謝産物であるO-desmethylvenlafaxine(ODV)に代謝される。平成30年度は、日本人を対象としてCYP2D6遺伝子多型(特に*10アリル)が、VEN、ODVラセミ体と各エナンチオマー(S-VEN、R-VEN、S-ODV、R-ODV)の血漿中濃度にもたらす影響について評価した。対象はVENを1週間以上投与された日本人患者48例(男性21例、女性27例)を解析した。VEN補正投与量(1日投与量を体重当たりで補正した値)と性別、年齢、体重、VEN、ODVラセミ体およびエナンチオマーの補正血漿中濃度(血漿中濃度を体重当たりの1日投与量で補正した値)、ODV/VEN比、S-VEN/R-VEN比、S-ODV/R-ODV比との間における相関関係を検討した。また、CYP2D6*10変異アリル数と補正血漿中濃度との相関については、同一症例において、補正した各血漿中濃度の平均を1つのデータにまとめ、39例(男性18例、女性21例)のデータを解析の対象とした。VEN、ODV、S,R-VEN、S,R-ODV各血漿中濃度はVEN補正投与量との間で有意な相関を認めた。補正VEN、ODV、S-ODV, ,R-ODV各血漿中濃度(体重当たり投与量で補正した値)は年齢との間で有意な相関を認めた。補正VEN、ODV、S-VEN、R-VEN、S-ODV、R-ODV各血漿中濃度のいずれも、CYP2D6*10のアリル数との間に有意な関連は認められなかった。 CYP2D6*10の遺伝子多型は日本人患者のVEN、ODV血漿中濃度に有意な影響を与えないが、年齢はVEN、ODV血漿中濃度に有意な影響を及ぼし得ることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにvenlafaxine服用中の患者48名からサンプルを収集し、venlafaxineの血中濃度およびその光学異性体の血中濃度の測定を行い、CYP2D6遺伝子型の同定も終了しており、venlafaxineおよびその光学異生体の薬物動態との関連について解析をすすめているところである。
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今後の研究の推進方策 |
Venlafaxine服用中の患者からのサンプルを継続的に収集し、十分にサンプル数を確保するように努める。またvenlafaxineの代謝物およびグルクロン酸抱合体血漿中濃度の測定を行い、population pharmcokineticsを用いた解析を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成30年度にEuropean College of Neuropsychopharmacologyに参加しなかったためである。
(使用計画)平成31年度(令和1年度)はCopenhagenで開催されるEuropean College of Neuropsychopahrmacologyに参加し、venlafaxineおよびその代謝物の薬物動態の特徴について報告する予定である。
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