研究課題
Venlafaxine(VEN)は、主にCYP2D6によって、活性代謝産物であるO-desmethylvenlafaxine(ODV)に代謝される。本研究では、日本人を対象としてVENとODVの血漿中濃度を測定した。対象はVENの投与を1週間以上受けた13例でVEN、ODV血漿中濃度を測定した。平均血漿中濃度がVEN=55.4±60.4ng/ml、ODV=140.0±118.9ng/ml、補正投与量で補正した平均血漿中濃度はVEN=47.1±40.8ng/ml/kg/m、ODV=121.4±35.4ng/ml/kg/mg、ODV/VEN比は5.3±5.2であった。補正投与量と補正血漿中濃度との相関係数は、VENとの間で0.57(p=0.043)、ODVとの間で0.94(P<0.001)であった。更にCYP2D6遺伝子多型が、VEN、ODVラセミ体と各エナンチオマー(S-VEN、R-VEN、S-ODV、R-ODV)の血漿中濃度にもたらす影響について評価した。対象はVENを1週間以上投与された日本人患者48例で解析した。VEN補正投与量(1日投与量を体重当たりで補正した値)と性別、年齢、体重、VEN、ODVラセミ体およびエナンチオマーの補正血漿中濃度(血漿中濃度を体重当たりの1日投与量で補正した値)、ODV/VEN比、S-VEN/R-VEN比、S-ODV/R-ODV比との間における相関関係を検討した。VEN、ODV、S-VEN、R-VEN、S-ODV、R-ODV各血漿中濃度はVEN補正投与量と有意な相関を認めた。補正VEN、ODV、S-ODV、R-ODV各血漿中濃度(体重当たり投与量で補正した値)は年齢と有意な相関を認めた。補正VEN、ODV、S-VEN、R-VEN、S-ODV,R-ODV各血漿中濃度のいずれも、CYP2D6*10のアリル数との間に有意な関連は認められなかった。
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Pharmacopsychiatry
巻: 52 ページ: 237-244
10.1055/a-0918-6408