研究実績の概要 |
統合失調症患者127名(男性66名、女性61名、平均年齢48.1±12.6、喫煙41名、平均罹病期間 23.7±13.0年PANSS得点 74.3±18.3 [陽性尺度15.1±5.7 陰性尺度22.9±6.6]、BACS-J composite score 175.4±52.7)を対象に血漿中Glu (グルタミン酸), Gln (グルタミン), L-Ser (Lセリン), D-Ser (Dセリン), Gly (グリシン), L-Ala (Lアラニン), D-Ala(Dアラニン)の各アミノ酸を測定した。健常者64名(男性37名、女性27名、平均年齢 48.8±11.8、喫煙14人)とロジスティック解析で比較したところ、L-Alaが統合失調症患者で有意に上昇していた(p=0.004、年齢性別喫煙で補正)統合失調症患者で血中アミノ酸濃度とパス解析をSPSS AMOS26を用いて行ったが、良いモデルが得られなかった。重回帰分析では、注意と情報処理速度が、Glu (β=0.36, p<0.001), D-Ala(β=-0.36, p<0.001), D-Ser (β=-0.32, p<0.001)と関連していた。PANSSP positiveがL-Serと関連していた(β=0.21, p=0.021)。 85名でセリン合成酵素(PHGDH, PSPH, PSAT1)の遺伝子配列をリシークエンスしたところ、PHGDHで希な変位を伴ってL-セリン濃度が上昇もしくは低下している被験者各一名を見出した。それぞれの遺伝子変異を持ったPHGDH遺伝子を組み込んだ発現ベクターを作成し、HEK293細胞に導入したところ、D-セリン濃度が低下している患者で認められた変異の導入では、コントロールに比べD-セリン濃度の低下、グリシン濃度の低下傾向が認められた。検体数が少なく統計的な検定を行えなかった。
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