研究課題/領域番号 |
17K10287
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋本 直樹 北海道大学, 医学研究院, 講師 (40615895)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 陰性症状 / 陽性症状 / 標準化 / 信頼性 / 妥当性 / PANSS / BNSS |
研究実績の概要 |
前年度から引き続き、BNSSおよびPANSSの信頼性、妥当性評価のための研究をすすめた。9名の患者のインタビュービデオに対して、11名の評価者が評価を行った。BNSS、PANSSの双方について、内的一貫性、外的妥当性、評価者間信頼性、再テスト信頼性のいずれにおいても良好な結果が得られていることが確認された。またBNSSの因子解析の結果からは、オリジナルと同様に日本語版も2因子構造を持っていることが示された他、PANSSの因子解析の結果からは7因子構造をもっている可能性さが示唆された。BNSSの解析結果について2019年4月の第14回日本 統合失調症学会で発表し、PANSSの解析結果について2019年6月の第115回日本精神神経学会で発表した。BNSSについては論文を作成し、Neuropaychiatric Disease and Treatment誌にacceptされた。PANSSについて論文を作成し投稿したが、不採用であったため、現在投稿誌を変更して査読待ちの状況である。 一方で、BNSSと同時に行動課題を用 いた評価、MRIを用いた評価を実施する研究について、BNSSの信頼性、妥当性が証明されたことを受けて、当院の自主臨床研究審査委員会に申請を行い、承認を得た。これを受けて現在はBNSS、陰性症状の生物学的基盤を評価する行動課題(The Effort Based Decision Making 課題と、The Reward Based Learning 課題)を用いた評価、MRIを用いた評価を同一被験者に対して行い、社会機能との関係を評価する研究に入ったところである。現時点で6名の被験者データを得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上記の通り、BNSS、PANSSの信頼性、妥当性につては概ね研究を終え成果をえた。一方で、BNSSと同時に行動課題を用 いた評価、MRIを用いた評価を実施する研究については、まだ被験者募集の段階である。遅れの主たる理由は、当院の自主臨床研究審査委員会より、BNSSの信頼性、妥当性が証明されたのちに、BNSSを用いた次の研究を行おうように指示されたことと、自主臨床研究審査委員会の承認後のリクルートが難航していたことである。
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今後の研究の推進方策 |
すでに自主臨床研究審査委員会の審査は終了し、研究自体は開始している。リクルートが難航していることについては、通院中患者の中での対象者の洗い出しを再度行う、科内の医師へあらためて協力を要請するなどを通じて解決を図っていく。一方で新型コロナウイルス感染蔓延の影響で、研究目的での来院要請が困難となっているため、受診時に検査を施行する、入院症例にも検査協力を依頼するなどして、症例を蓄積していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の繰越が生じた主たる理由は、BNSS、行動課題、MRIを用いて重回帰分析を行う研究が十分に進捗せず、被験者謝金が少なかったことが主たる理由である。 すで に研究自体は開始しているため、半年程度で30名の患者リクルートは十分に可能と判断しているが、新型コロナウイルス感染症の影響が予測できない。外来受信日に可能な限りの検査を終わらせるなどの工夫をしながら、研究を進めていきたい。
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