研究課題
初年度、次年度と同様、i)悪性緊張病を疑われた症例や、ii)けいれんと精神病症状の合併患者、iii)非定型病像を呈する患者、iv)難治例の統合失調症患者、v)ナルコレプ シーで 精神病症状を呈した患者を対象とし、さらに1 m-ECT(電気けいれん療法)が奏功し、他の治療法では症状の軽快を得られなかった例、2 各種薬剤抵抗性で難治例と判断された例、3 精神科にて、悪性緊張病と診断・加療を行われた例、4 非典型的な経過をたどり診断が二転三転するなど定まらない長期経過例 などに関しても検体を得て、抗NMDAR抗体の測定を行なった。結果、3年間で合計204例の検体を得て抗体測定を行い、合計9例の陽性例を得た。前年度傍腫瘍性症候群による辺縁系脳炎(あるいは脳脊髄炎)が疑われたが全ての抗体が陰性だったケースを2例経験したため、類似例の掘り起こし、抗体測定を行った。しかし、最終年度では同様のケースは得られなかった。以上を合わせ、3年間で抗NMDAR抗体陽性例9例、全ての抗体が陰性ながら傍腫瘍性症候群と診断された2例の合計11例の症例の集積が出来た。脳炎として典型的なケースが大部分を占めたが非定型病像を呈したケースもあり、最終的なまとめを論文化する予定である。また、当院で傍腫瘍性症候群が疑われたケースの入院に関してクリニカルパスを作成し、これに基づき様々な精査・場合に応じて治療をスムーズに進めることが可能となった。今後も、クリニカルパスを使用し広範な検査、治療を進めていく予定である。
3: やや遅れている
3年間で合計204例の検体の抗NMDAR抗体の測定を行えており、十分なN数は確保出来たと判断している。実験は順調であったが、論文化が遅れており最終年度後とはなるが論文を作成中である。
今後も、上記で述べた症例と判断されたケースについて髄液・血清を含めた検体を集積し、研究を進めていきたいと考えている。3年間で集積した204例については、遅れてしまってはいるがそのまとめを論文化する予定である。
論文作成のための費用(英語のチェックなど)に充てるため。
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