研究課題
前年度までにオスのプレリーハタネズミがメスとつがい形成(pair bond)すると、passive avoidance testのメモリーテスト時に暗室に入るまでの潜時が著しく早まることをあきらかにしている。今年度は、プレリーハタネズミにおける、このpair bonding依存的な恐怖記憶の減弱効果へのオキシトシンの関与を検討した。メスとpair bondを形成した被験個体に対して、passive avoidance testでの条件付けの30分前に脳室内にオキシトシンアンタゴニストを投与した。翌日、メモリーテストを行ったところ、対照として人口脳脊髄液を投与した群では暗室へ入るまでの潜時が遅延しなかったが、オキシトシンアンタゴニストを投与した群では有意に暗室に入るまでの潜時が遅延した。メスとpair bondを形成したオス個体では室傍核のオキシトシン免疫染色性が増加する知見と合わせると、pair bond依存的な恐怖記憶の減弱効果にはオキシトシンシグナルが重要な役割を果たしていることがお示唆された。一方、オス同士で同居させた個体にオキシトンあるいはオキシトシンアゴニストを脳室内投与したところ、メモリーテストで暗室へ入るまでの潜時が早まることはなかった。このことは、pair bond依存的な恐怖記憶の減弱効果はオキシトシンによる一般的な抗不安作用によるものではなく、pair bondによって神経回路の可塑的な変化が必要であることを示唆している。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Hormones and Behavior
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