山梨大学医学部附属病院精神科に入院した患者のうち,50 歳以上で DSM-IVによってうつ病と診断された患者から治療の前後に採血した血漿サンプル(40症例、80サンプル)についてELISA法でrepressor element 1-silencing transcription factor (REST)濃度を定量した。さらに、血中REST濃度とうつ病の重症度(HAM-D、BDI-II、GDS)、各種認知機能検査(MMSE、CDR)、各種心理検査(WCST、WMS-R logical memory、Verbal Fluency Test)、統計的脳画像解析(VSRAD、e-ZIS)の各種パラメーター、血漿中のアミロイドβペプチド(Aβ40、Aβ42、Aβ40/Aβ42比)、血清アミロイドP成分(SAP)、Apolipoprotein E(ApoE)遺伝子型、治療法の違い(薬物療法、電気けいれん療法)などとの間にどのような関連があるかを検討した。 その結果、うつ病に対する治療前、治療後ともに血中REST濃度と血中SAP濃度が正の相関をが認められた。また、治療後の血中REST濃度と治療後のWCSTの結果が正の相関を示した。 上記の結果から、RESTははうつ病患者において認知機能障害から保護的に作用する可能性が考えられた。また、RESTとSAPにどのような関係があるのかについてはさらなる研究が必要である。
|