高齢期における認知機能の低下などを含めた様々な精神症状を、神経病理学的な手法を用いて死後脳から検索し、その病態病因を検討する研究である。今回とくに若年に発症した統合失調症に焦点をあて、加齢にともなって認知症類似の著明な認知機能低下を呈した症例群において、臨床症状を説明できる病理所見を欠いていることを明らかにした。これは、この疾患による脳の脆弱性や予備機能の低下などを示唆していると考えられた。このことは、高齢期の統合失調症の治療やケアーに有用な知見を見いだした。また、一方で遺伝背景の明確な統合失調症の脳病理を検討し、この疾患における脳組織上の変異を見いだし病因解明へ有用な知見をもたらせた。
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