研究課題/領域番号 |
17K10301
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森原 剛史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90403196)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 疾患リスク遺伝子 / スプライシング / アミロイドβ |
研究実績の概要 |
孤発性アルツハイマー病は、患者数も社会的負担も極めて大きいにもかかわらず、その発症メカニズムはいまだに解明されていない。本研究は孤発性アルツハイマー病の新たな発症分子メカニズムの解明という大目標に着実に近づいている。つまり解明が難航している孤発性アルツハイマー病の発症分子メカニズムの一端を明らかにしつつある。これまでの成果は、申請代表者が筆頭かつ責任著者となりPNAS誌(v111 p2638)に報告した。独自の異種omics研究とmouse-to-human translational researchが行い、アルツハイマー病リスク遺伝子CELF1の発現低値がKLC1スプライスヴァリアントE(KLC1vE)を増加させAβ脳病理を促進していることを解明しつつある。引き続き本研究は次の2点を検討する。(1)GWASで報告されたアルツハイマー病リスク遺伝子X(本研究を基盤としたアルツハイマー病バイオマーカー顔発および関連特許の取得を検討中のため非公開)が、申請者らが同定した発症メカニズムに関与していかどうか。(2)KLC1vEがAβ病理規定遺伝子産物であることを、次世代モデル動物をもとにしたコンジェニックマウスを用いたリバースジェネティクスでも検討する。 (1)については培養細胞を用い遺伝子Xのノックダウンを行っい、KLC1の各スプライシングバリアントの定量を行っている。(2)についてはスピードコンジェニック法を用いたKlc1領域のコンジェニック化に成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スピードコンジェニック法を用いたマウスゲノムのKlc1領域をC57BL/6由来からDBA/2由来への置き換えを完了した。次世代アルツハイマー病モデル動物であるAPPノックインマウスの背景遺伝子はC57BL/6であるが、このKlc1ゲノム領域のDBA/2への置換の効果を評価していく。APPノックインはホモで、Klc1領域はC57BL/6とDBA/2のヘテロとなっているマウス同志を交配させ、その子供を1年間加齢させている。 アルツハイマーリスク遺伝子X(本研究で解明中の機能については特許取得予定のため非公開)によるKLC1制御を培養細胞を用い解明中である。
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今後の研究の推進方策 |
コンジェニックマウスの加齢と、その解析を行う。12か月齢まで加齢したコンジェニックマウスの海馬におけるKlc1の各スプライシングの発現量をQPCRで調べる。Klc1領域のゲノムがC57BL/6またはDBA/2由来かによるKlc1のスプライシングプロファイルの際を把握する。そしてこれまでC57BL/6やDBA/2を含む3系統のマウス系統で背景遺伝子を混合させたTg2576から得た結論が再現されているか確認する。次に、コンジェニックマウスの脳内Aβ量をELISAで定量する。Klc1領域のゲノムがC57BL/6またはDBA/2由来かによるAβ蓄積量へのインパクトを調べる。 培養細胞系では、アルツハイマー病リスク遺伝子X(非公開)いよるKLC1スプライシングへの影響を引き続き確認していく。 入力してください。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は順調だが、コンジェニックマウスの生まれ数が想定よりやや少なかった。 その分の費用と繁殖加齢は次年度に行うことにした。 研究計画への重大な影響はないと考える。
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