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2018 年度 実施状況報告書

アルツハイマー病の新規発症分子メカニズムを解明する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K10301
研究機関大阪大学

研究代表者

森原 剛史  大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (90403196)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードアルツハイマー病 / アミロイドβ / 疾患リスク遺伝子 / マウスからヒトへのトランスレーション
研究実績の概要

孤発性アルツハイマー病は、その患者数も社会的負担も極めて大きいのにもかかわらず、効率的な治療法はなく、その発症メカニズムもいまだに解明されていない。孤発性アルツハイマー病は複雑な多因子疾患であり、疾患として不均一である。本研究はアルツハイマー病の複雑な分子発症メカニズムを強力に明らかにしつつある。さらには不均一なアルツハイマー病の再分類にもつ案がる知見を提供しつつある。我々はアルツハイマー病の中心病理であるAβ脳内蓄積を制御する遺伝子産物KLC1vEを同定している(PNAS 2014)。超大型GWAS(Genome wide association study)により報告(Nature Genet 2013)されたアルツハイマー病リスク遺伝子X(ここでは非公開)は全く機能不明であった。この遺伝子XがAβ蓄積規程因子KLC1のスプライシングを制御していることを証明しつつある。
背景遺伝子を混合されたマウスにおいてKLC1領域がDBA/2由来であると、C57BL/6やSJLだった場合に比べKLC1vEが高値で脳内Aβ蓄積量が高値であることを報告している(PNAS 2014)。この結果をさらに確実に補強するためKLC1領域をスピードコンジェニック法によりC57BL/6からDBA/2に置換したコンジェニックマウスの開発がすすんでいる。
さらには背景遺伝子を混合させたマウスの網羅的脳内遺伝子発現データーとヒトGWASの統合解析を行った。マウスとヒトという異種、トランスクリプトミクスとゲノミクスという異種のオミックスの統合解析である。その結果、新たなアルツハイマー関連遺伝子LBHとSHFを同定し報告した(Hum Genet. 2018 ;137(6-7):521-533)。この2つの遺伝子はヒト剖検脳でも発現量がアルツハイマー病群とコントロール群で有意に異なっていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

コンジェニックマウス開発は技術的トラブルからやや遅れている。
一方KLC1を制御する因子の同定と解明については大きな成果が得られており、当初想定以上に信頼性の高い結果が得られている。培養細胞実験では複数の細胞で遺伝子XのKLC1への効果が確認された。ヒト剖検脳でも遺伝子XとKLC1の強力な関係が観察された。剖検脳の公開データーベースでも遺伝子Xの発現とアルツハイマー病の関係が確認された。
さらにはマウストランスクリプトミクスとヒトGWASという異種オミックスを統合解析することで、新規のアルツハイマー関連遺伝子を同定した(Hum Genet. 2018 ;137(6-7):521-533)。
全体としては計画以上の進展である。

今後の研究の推進方策

KLC1をターゲットとした治療薬開発のための基盤となる研究を開始する。
遺伝子XとKLC1の関係が直接的であることを検証する。
KLC1領域をC57BL/6からDBA/2由来に置換したコンジェニックマウスの開発を継続する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] レンヌ大学(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      レンヌ大学
  • [国際共同研究] フレイザー大学(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      フレイザー大学
  • [国際共同研究] university of California Los Angeles(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      university of California Los Angeles
  • [雑誌論文] Integrated analysis of human genetic association study and mouse transcriptome suggests LBH and SHF genes as novel susceptible genes for amyloid-β accumulation in Alzheimer's disease2018

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi-Kabata Y, Morihara T, Ohara T, Ninomiya T, Takahashi A, Akatsu H, Hashizume Y, Hayashi N, Shigemizu D, Boroevich KA, Ikeda M, Kubo M, Takeda M, Tsunoda T
    • 雑誌名

      Hum Genet

      巻: 137 ページ: 521-533

    • DOI

      10.1007/s00439-018-1906-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アルツハイマー病の新規発症メカニズム:Aβを制御するリスク遺伝子と分子パスウエイ2018

    • 著者名/発表者名
      森原剛史、永田健一、Paillard Luc、赤津裕康、橋詰良夫、林紀行、吉山 顕次、池田学
    • 学会等名
      日本認知症学会
  • [学会発表] アルツハイマー病の新たな発症分子メカニズム2018

    • 著者名/発表者名
      森原剛史 佐藤真広 赤津裕康 Luc Paillard 林紀行 木村展之 鈴木利治 橋本亮太 柳田寛太 武田雅俊 池田学
    • 学会等名
      第1回 医学系研究科 - 産業科学研究所懇話会
  • [学会発表] アルツハイマー病というcomplex diseaseをどう攻めるか:A mouse-to-human translational research2018

    • 著者名/発表者名
      森原剛史
    • 学会等名
      千里ライフサイエンスセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Heading toward Precision Medicine for Alzheimer's Disease: Abeta modulator gene KLC12018

    • 著者名/発表者名
      T Morihara
    • 学会等名
      WFSBP Asia Pacific Regional Congress of Biological Psychiatry
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 認知症プレシジョン医療開発学

    • URL

      http://www.med.osaka-u.ac.jp/introduction/research/endowed/precision-medicine-for-dementia

  • [備考] アルツハイマー病のAβ脳内蓄積の制御機構研究

    • URL

      http://www2.med.osaka-u.ac.jp/psy/laboratories/lab01/amyloidbeta.html

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公開日: 2019-12-27  

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