研究課題/領域番号 |
17K10303
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉山 顕次 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20426498)
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研究分担者 |
高橋 洋人 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20617352)
梶本 勝文 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30403067)
安野 史彦 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (60373388)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 特発性正常圧水頭症 / 脳脊髄液 / アミロイドβ / 頭部MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アルツハイマー病の原因となる、脳内に沈着したアミロイドβ(Aβ)を、MRIを用いて調べる方法を検討することである。MRI画像情報の中で、位相画像情報と呼ばれる画像情報は、ADの主な病理的原因の一つと考えられているAβの中に含まれる鉄を鋭敏に検出可能である。本研究でAβを検出するために使用する画像再構成技術Phase Difference Enhanced Imaging (PADRE)は、Philips社製MRIに製品版SWIpとして搭載されている高分解能3D画像であるが、SWIpを用いた検討はなされておらず、施設間の差異のない最適化されたPADRE-SWIpの再構成パラメタの最適化を行う必要がある。そのために、大阪大学医学部附属病院で、脳内にAβが沈着していると判断できる被検者に対して、頭部MRIを撮像し、そのパラメタを最適化するということを行っていく必要があると判断した。脳内のAβの病的な沈着を頭部MRIでいかに検出し、評価できるかを調べるにあたり、当科で脳脊髄液中のAβを調べている患者について、頭部MRIをPADREを行うことが出来る条件で撮像し、脳脊髄液中のAβと頭部MRIから推定されたAβの比較を行う方針とした。 PADREの解析については、前頭葉と頭頂葉(SFG, PrCn)の信号(threshold)の違いが、認知症症状と関連していることがわかってきているため、まずはこの2野について検討した。現時点で、9例のMRIが撮像できており、そのうち6例まで解析がなされている。SFGとPrCnについて、4つのエコーごとの定量値をプロットし、そのグラフの傾きからAβの量を推定できる状態まで解析を行った。 脳脊髄液のAβについて、いったん結果が出たが、以前に行った脳脊髄液のAβのデータと比べたところ、信頼性が低いことがわかり、検証を行っている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
PARDEで脳内のAβ沈着の定量的測定を行うに当たって、パラメタの最適化を行い、定量化を行う必要がある。このパラメタの最適化について、まず、Aβ沈着が確実にみられると思われる被検者を募る必要がある。PADREのための頭部MRIの撮像を行うにあたって、平成30年度も、前年度と同様に大阪大学医学部附属病院でのMRI検査の都合上、外来診療が行われている中でMRIの撮像を行うことは難しく、入院をして、MRIの撮像を受ける必要が生じている状況である。そのため、すでにアミロイドPET検査を受けた患者については、この研究目的で入院とすることは倫理的な問題と病棟の性質上難しく、外来でMRIの撮像が可能な状況が整うまでMRIの撮像を行うことは困難である。そのため、脳脊髄液にてAβを測定するために入院した特発性正常圧水頭症患者について、PADREのための頭部MRIを撮像し、9例のデータを得た。この9例の頭部MRIのデータを熊本大学大学院保健学教育学部先端生命医療科学部門の米田哲也に送り、解析を行っているが、この解析について、米田哲也は他の施設のデータと比較して、施設間の差異のない最適化されたPADRE-SWIpの再構成パラメタの最適化を行っているが、解析の困難さがあり、現在6例までしか解析が進んでいない。また、脳脊髄液の解析上、問題が見つかり、現在これを検証することにも時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、当院より撮像された頭部MRIのデータを熊本大学大学院保健学教育学部先端生命医療科学部門の米田哲也が解析を行い、結果を検討する。また、脳脊髄液中のAβの測定上の問題を検証する。そして、脳脊髄液中のAβの 値との関連や神経心理学的検査の結果との比較を行っていく。また、引き続き認知症の精査目的にて入院した患者で、脳脊髄液検査にてAβを測定し、PADREのた めの頭部MRIを撮った患者のデータを熊本大学に送り、解析を続けていく。同時に、外来にてPADREのための頭部MRIを撮像する事について、大阪大学医学部附属 病院未来医療開発部臨床研究センターにて行われる倫理審査委員会にて承認を得る。そして、大阪大学医学部附属病院の外来の枠でPADREのための頭部MRIを撮像 できるように放射線科とスケジュールの調整を働きかけていく。そして、すでにアミロイドPET検査を受けた患者に対して、PADREのための頭部MRIを撮像出来る ように調整していく。一方で、脳脊髄液にてAβを測定するために入院した患者については、可能な範囲で、引き続きPADREのための頭部MRIを撮像し、熊本大学 大学院保健学教育学部先端生命医療科学部門の米田哲也に送り、他の施設のデータと比較して、施設間の差異のない最適化されたPADRE-SWIpの再構成パラメタの 最適化を引き続き行っていく。また、Aβの蓄積のデータと、脳脊髄液のAβの値との関連や神経心理学的検査との比較を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行が当初の計画より少しずれが生じた為
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