研究課題/領域番号 |
17K10307
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
立石 洋 佐賀大学, 医学部, 助教 (50457470)
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研究分担者 |
門司 晃 佐賀大学, 医学部, 教授 (00294942)
浅見 豊子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (20222599)
西原 正志 佐賀大学, 医学部, 助教 (50516557)
川口 淳 佐賀大学, 医学部, 教授 (60389319)
大塚 貴輝 佐賀大学, 医学部, 助教 (70363439)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生物化学的指標 / 前頭葉機能 |
研究実績の概要 |
治療抵抗性大うつ病に対する反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)による治療の際に、各種生物化学指標(高感度CRP、炎症性サイトカイン、コルチゾル、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ノルアドレナリン代謝産物(MHPG))を測定し、同時に脳画像検査(SPEC、MRI)及び認知機能としての前頭葉機能検査を行い、それらの結果からrTMSの治療機序を探索するとともに、それらの指標がrTMSの治療反応予測因子となり得るかどうか明らかにすることを目的としていた。 中前頭回の拡散テンソル画像によるfractional anisotropy(FA)の改善と一部の前頭葉機能の改善との関係について、2018年6月20日の日本精神神経学会の一般演題、2018年9月の日本生物学的精神医学会のシンポジウムで発表した。 平成30年度はこれまで実施済みであった25症例に加え、7症例に対してrTMSを実施した。生化学指標として上記のコルチゾル、BDNFに加え、その他の生物学的指標(proBDNF、S-100B、IL-1β、MBP)について測定を実施し解析中である。その結果を、2019年6月20日の日本精神神経学会の一般演題及び同月23日の生物学的精神医学会の一般演題で発表予定である。また、頭部MRI検査による拡散テンソル画像及び前頭葉機能検査結果について解析を行った。これまでの結果では、治療抵抗性大うつ病に対してrTMSの有効性は改めて示された。前頭葉機能の一部はrTMSにより有意に改善を示した。また、中前頭回の拡散テンソル画像によるFAの改善と一部の前頭葉機能の改善とは有意な相関を示さなかった。rTMSの作用機序に関して前頭葉機能の改善にFAの改善が関与していない可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例がおおむね順調に集まっている。生化学指標のサンプルとして脳脊髄液の収集が平成30年度は4症例を追加し、計5症例となった。また、脳脊髄液検査の同意はrTMS施行の同意とは別途設けているため、その他の検査を収集することができている。脳機能画像と前頭葉機能との関連で有意なものが現時点では出ていないが、生化学指標との関連について現在解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きrTMS治療の症例を集めていく。既に得られた知見について学会発表や論文作成を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
唾液サンプルに対する生化学的指標の測定が未施行症例があることと、髄液検体の症例収集が少なく、髄液検体に対する生物学的指標の測定が未施行であるため。検体収集を進め、生化学的指標の測定を施行していく計画である。
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