研究課題
治療抵抗性大うつ病に対する反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)による治療の前後で、各種生物化学指標(高感度 CRP、炎症性サイトカイン、コルチゾル、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ノルアドレナリン代謝産物(MHPG))を測定し、同時に脳画像検査(SPECT、MRI)及び認知機能としての前頭葉機能検査を行い、それらの結果からrTMSの治療機序を探索するとともに、それらの指標がrTMSの治療反応予測因子となり得るかどうか明らかにすることを目的としていた。2013年8月より大うつ病患者に対しrTMSを開始し、2020年3月までで、32症例に対しrTMSを実施した。これまでの検討から、rTMS治療により一部の前頭葉機能の改善及び異方分画性(fractional anisotropy: FA)の増加を認めたものの、前頭葉機能の改善とFAの増加との間には相関を認めないことの結果を得て、2018年の日本精神神経学会および日本生物学的精神医学会で発表し、論文投稿した(Neuropsychiatr Dis Treat. 2019; 15: 3079-3087.)。また、rTMS治療によって、rTMS治療前後で炎症性サイトカイン単独(IL-1β, IL-6, TNF-α)では有意な変化を認めなかったが、一部の認知機能の変化量とIL-1βの変化量とが有意な相関を認めた。このことから、rTMSによる大うつ病の認知機能障害の改善に血清IL-1βの低下が何らかの形で関与している可能性が示唆された。これらの成果を、2019年6月の日本精神神経学会および日本生物学的精神医学会で発表を行い、論文投稿した(Psychiatry Res. 2020; in press.)。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Psychiatry Research
巻: - ページ: -
10.1016/j.psychres.2020.112995
Neuropsychiatric Disease and Treatment
巻: Volume 15 ページ: 3079~3087
10.2147/NDT.S228501