研究課題/領域番号 |
17K10312
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小林 清樹 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50569035)
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研究分担者 |
橋本 恵理 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30301401)
鵜飼 渉 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (40381256)
相馬 仁 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70226702)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | DAT-SPECT / DLB / MIBG心筋シンチ |
研究実績の概要 |
2017年のDLBの国際臨床診断基準が改訂された。これにより、DAT-SPECTやMIBG心筋シンチなどの画像検査所見が今まで以上に重要視されるようになった。本邦でも、MIBGシンチに加えて、DAT-SPECTがDLBを疑う症例に対して積極的に施行されるようになった。両者の診断感度について34例(75.0 ± 8.3 歳, 男:女=14 : 20 ) のDLBを対象に調査したところ、どちらも感度は79%であった。また、DLBの主症状である、幻視、パーキンソニズム、fluctuation、レム睡眠行動障害(RBD)の有無とDAT-SPECT所見の関係を調べたところ、幻視やRBDがある症例はDATで陽性所見が得られやすいという傾向があったが統計学的有意差は得られなかった。一方で、MIBGシンチの方では、RBDがある症例は全例陽性所見となり、統計学的にも有意な結果であった。いずれにしても、DAT-SPECTやMIBGシンチはDLBの臨床診断には欠かせない検査法であり、両者を組み合わせることで更に診断精度が上がることも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はすでに、250例を越えるDLB患者に関する様々な情報をデータベース化しており、そのうち、100例以上が既にDAT-SPECTを施行済みである。 また、認知症専門外来を設置していること、世界で初めてDLBを発見した小阪が執筆した本に研究代表者の名前も紹介されていること等から、問い合わせも多く、さらに新規の症例も重ねての調査が可能である。このように対象が豊富であること、既にDAT-SPECTだけでなく、脳血流SPECT、MIBGシンチも積極的に施行しており、これらの結果を用いて、様々な切り口で網羅的解析を行う準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
脳血流SPECT(とりわけ尾状核や被核)とDAT-SPECT所見との相関については興味深い。PDやDLBにおけるパーキンソニズムの発症は、黒質から線条体に投射するドパミンニューロンの選択的脱落に起因するので、単純に考えると、同部位の脳血流も低下すると予想される。しかしながら、ドパミン神経脱落に対する代償作用を反映し、むしろ相対的に脳血流が上昇する機序も想定されており、多数例でかつ正確な測定方法による検討を行う。また、DLBの治療(抗認知症薬、抗パーキンソン病薬、電気痙攣療法ECTなど)の前後において、DAT-SPECT所見の変化に着目し、治療効果判定などにも応用可能かを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年3月に、国際学会にて研究成果発表を行った。しかし、それにかかる諸費用がわずかに不足していたため、次年度に繰越をしH30年度分とあわせて支出するため。
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